産業・生活・社会活動全般においてエネルギーの効率利用をはかること。企業レベルでは,単なるエネルギーの節約というよりも,生産過程のくふうによって,財1単位の生産に必要なエネルギーの量(消費原単位)を減らす,といった意味に使われることが多い。その場合は設備投資を伴い,これを省エネルギー投資と呼ぶ。しかし,もっと一般的に,国全体のエネルギー消費量を節約するという意味にも使われ,この場合には,(1)エネルギー多消費型産業からエネルギー寡消費型産業へのウェイトの移行(省エネルギー型産業構造への転換),(2)新技術,新システムの開発によるエネルギー消費原単位の低下(生産過程における省エネルギー型システム,エネルギー回収システムの開発や,省電力タイプ民生用電気機器の開発など),(3)工場,事務所,家庭におけるエネルギーの節約,などがその具体的内容である。
省エネルギーは,1973年と79年の2度の石油危機を経て,日本をはじめとする先進工業諸国で,石油代替エネルギーの開発とともに,重要な政策課題の一つとして採り上げられるようになった。まず,1978年度からナショナル・プロジェクトの〈ムーンライト計画〉(省エネルギー技術開発計画)をスタートし,79年には〈省エネルギー法〉(〈エネルギーの使用の合理化に関する法律〉)が公布され,国が省エネルギーの基準を設けて企業を指導することになった。79年には冷暖房の基準温度が定められた(その後1983年に最終的に廃止)。また82年からは,通産省が鉄鋼などエネルギー多消費型6業種を中心とした長期の省エネルギー対策として〈省エネルギー総合対策〉を実施している。このため,省エネルギーはかなり進展し,1960-70年度に実質GNPが年率11%伸びたのに対し,石油需要,総エネルギー需要は,それぞれ20%,13%伸びていたが,73-82年度には,実質GNP年率3.9%の伸びに対し,逆にそれぞれ2.8%,0.5%の減少となった。
執筆者:田中 隆之
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