日本大百科全書(ニッポニカ) 「引き染め」の意味・わかりやすい解説 引き染めひきぞめ 地染めをするのに、生地(きじ)を染液に浸(つ)けて染める浴染法に対して、通常、伸子(しんし)で張った生地へ刷毛(はけ)を用いて染料を塗って染める方法をいう。友禅染めで模様のなかに細かい彩色をするための塗り染めは差しといって引き染めとはいわない。このためには顔料を用いたり、天然染料の場合は、あらかじめ媒染を加えて発色させたものを用いることが多い。化学染料なら引いて蒸しをかければよいので簡単だが、技術的にはむらにならないように平らに引くことがたいせつで、生地の長さにしたがって用意する染料の分量や、引き方などに技術的な経験と修練を要する。[山辺知行] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例