引町(読み)くしびきまち

日本歴史地名大系 「引町」の解説

引町
くしびきまち

面積:八一・四九平方キロ

郡の南部、あか川中流に位置し、北と西は鶴岡市、東は羽黒町、南は朝日あさひ村と接する。町域の南東部は細長く延び、その端に標高一三二四メートルの雨告あまもり山がそびえ、同山からしだいに標高を減じながら月山北西斜面の山岳丘陵地帯が続き、庄内平野に至る。南西隅は標高七〇〇メートル級の母狩ほかり山嶺を境とする。中央部を貫流する赤川は、朝日村の渓谷を脱して当村を北流し庄内平野に入る。大部分の集落と耕地は赤川両岸の扇状地に発達している。赤川と並行して西岸を山形―鶴岡間を結ぶ国道一一二号、東岸を庄内広域営農用地農道(通称庄内スーパー農道)が通る。総面積の四七パーセントが山林である。南東の月山山麓には縄文時代の遺跡が散在する。黒川くろかわ三礎林さんそりんE遺跡の発掘調査では、縄文時代中期の集落跡が明らかにされている。

中世、当町域は赤川流域に成立した庄園大泉おおいずみ庄に含まれていたと考えられ、永徳二年(一三八二)年紀のある下山添しもやまぞえの八幡神社の大般若経写経奥書には「羽州大泉庄山制郷八幡宮」「大泉庄山副郷八幡宮」などとみえる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報