引腰(読み)ひきごし

精選版 日本国語大辞典 「引腰」の意味・読み・例文・類語

ひき‐ごし【引腰】

〘名〙 平安以来の婦人朝服の裳(も)の腰の緒の余り。元来は結び余りを長く引いたが、小腰(こごし)で結ぶようになって別につけて装飾とした。
玉葉‐文治六年(1190)正月一一日「姫君、御帳前、平敷御座〈略〉余奉御裳。以引腰之〈無小腰先例也〉自袖下引きまはして諸匙に結之」

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デジタル大辞泉 「引腰」の意味・読み・例文・類語

ひき‐ごし【引(き)腰】

女房装束大腰左右に取り付け、後ろに長く引き垂らした2本の飾りひも。

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世界大百科事典(旧版)内の引腰の言及

【懸帯】より

…江戸時代の裳(も)についている帯と,平安時代の社寺参拝などのとき女子が胸から背にかけて垂れ結んだ帯をいう。(1)は平安時代になって形式的に衣の後ろにつけるようになり,そのひもも装飾化して引腰(ひきごし)などというものもできたが,鎌倉時代以後,裳は平時には用いられなくなり,その着装法にも変化が起こった。江戸時代に至って,この裳をつけるのに,唐衣(からぎぬ)と同じきれでこれにししゅうをしたり,あるいは糸の飾りをおいた帯を裳の後ろの腰につけて,これを肩越しに胸にかけてつるようになり,これを裳の懸帯といった。…

※「引腰」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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