引越(読み)ひきこす

精選版 日本国語大辞典 「引越」の意味・読み・例文・類語

ひき‐こ・す【引越】

[1] 〘自サ四〙
① 引いて越える。引いてこちらからむこうにわたる。また単に、越す。
万葉(8C後)一一・二六四七「横雲の空ゆ延越(ひきこし)遠みこそ目言離るらめ絶ゆと隔てや」
落語・今戸の狐(1892)〈三代目三遊亭円遊〉「先々月で、三月か四月跡に引きこして、那方(あちら)でもって狐を拵へて居ります」
[2] 〘他サ四〙
① 引いて越えさせる。
書紀(720)欽明三一年七月(寛文版訓)「難波の津より発(みちよ)いて、船を狭狭波(ささなみ)の山に控引(ヒキコシ)て飾の船を装ひて」
② 後ろから前へ肩を越えるようにする。
※枕(10C終)二四八「纓(えい)をひきこして顔にふたぎていぬるもをかし」
順序を越えて引き上げる。他人を越して上位にひき上げる。
※宇津保(970‐999頃)蔵開中「仁寿殿をおぼして、そのおやをひきこしてなされたるは」

ひき‐こ・ゆ【引越】

〘自ヤ下二〙
① 引きつれて越える。また、単に越える。
拾遺(1005‐07頃か)雑秋・一一〇八「はしり井のほどをしらばや相坂の関ひきこゆるゆふかげのこま清原元輔〉」
② 他の人を追い越して官位昇進をする。
落窪(10C後)二「司召(つかさめし)に、ひきこえ、中納言に成り給ひぬ」

ひき‐こし【引越】

滑稽本・街能噂(1835)三「大坂でも引越(ヒキコシ)のときは近処へ蕎麦を配りやすかね」

ひっ‐こ・す【引越】

〘自サ五(四)〙 居所をかえる。移転する。転居する。ひきこす。
人情本春色梅児誉美(1832‐33)九「仲の郷から引越(ヒッコス)の何だの角だのと」

ひっ‐こし【引越】

〘名〙 居所を変えること。移転。転居。転宅
※雑俳・柳多留‐初(1765)「引越の跡から婦猫を抱き」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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