当事者対等主義(読み)とうじしゃたいとうしゅぎ(英語表記)Prinzip der Parteigleichheit; Waffengleichheit

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「当事者対等主義」の意味・わかりやすい解説

当事者対等主義
とうじしゃたいとうしゅぎ
Prinzip der Parteigleichheit; Waffengleichheit

訴訟上,対立当事者が互いに平等な地位にあるとする原則武器平等の原則,当事者平等の原則ともいう。 (1) 民事訴訟法では,判決手続の過程原告被告にその言い分を述べる機会を平等に与える原則をいう。ただし強制執行手続では債権者と債務者の立場が違うので平等は望めない。 (2) 刑事訴訟法では,捜査機関ないし検察官と被告が対等であるとする原則。現行法では黙秘権を担保する規定を設け,弁護制度を強化するなどによってその実現に努めてはいる。しかし,実際には証拠収集能力の差は歴然としており,さらに証拠の事前開示も十分には認められていないため,この原則が完全に実現されているとはいいがたい。

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世界大百科事典(旧版)内の当事者対等主義の言及

【口頭弁論】より

…訴訟の審理について,日本国憲法82条は,〈対審〉を公開の法廷で行うことを要請しているが,この〈対審〉が,民事訴訟では口頭弁論,刑事訴訟では公判と呼ばれ,これにより憲法32条に規定する〈裁判を受ける権利〉が実現される。民事訴訟法上,口頭弁論は,最狭義には,当事者(または訴訟代理人たる弁護士)が対席して本案の申立てと攻撃防御方法(法律上の主張,事実の主張,証拠の申出)を口頭で陳述することを指し(民事訴訟法87条),広義にはさらに事実認定のための証拠調べ(証拠)も含み(148条,156条,158条,民事訴訟規則70条,251条),最広義には裁判所の訴訟指揮や裁判の言渡しをも含めて,受訴裁判所の面前で行われる審理の方式ないし手続を意味する(148条,152条,153条,160条,249条)。…

【当事者主義】より

…もっとも,訴訟の進行については,民事事件と同じように,訴訟指揮権を持つ裁判所の適切な処理にゆだねられており,この点は職権進行主義である。 当事者主義という語はまた,当事者対等主義の意味でも用いられる。これは,検察官も被告人もともに当事者であるから,その訴訟上の地位は本来対等だという意味である。…

※「当事者対等主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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