影の価格(読み)かげのかかく(その他表記)shadow price

翻訳|shadow price

改訂新版 世界大百科事典 「影の価格」の意味・わかりやすい解説

影の価格 (かげのかかく)
shadow price

数理計画法の基礎概念で,潜在価格あるいは帰属価格imputed priceともいう。数理計画自体では必ずしも価格という含意をもたないが,以下に述べる応用上重要な文脈で価格という解釈を許すところから,このように呼ばれる。利用可能量に制限のある複数種の資源を利用して,ある目標の達成を目ざす計画があるとする。幾通りもありうる資源の利用法から,最高の目標水準を達成しうるものを選び,現存の資源量ではそれ以上を望めない状態を実現したとき,資源の有効利用という。いま,有効利用の状態から,他の資源は現在水準にとどめたまま,ある資源量を1単位増加させれば,それに応じて目標水準も上昇する。この上昇分はその資源のこの計画に対する貢献度とみなせる。これが〈影の価格〉である。影の価格は計算上の擬制であって,現実に市場で観測される価格とは必ずしも一致しない。しかし,その不一致はその資源に対する計画内部での評価と計画外部の市場での評価の差異を意味し,これは計画を修正するうえで重要な指針を与える。また,資源を影の価格で評価すれば,達成された成果がすべて各資源に適切に配分できる。帰属価格ともいうゆえんである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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