後方手(読み)シリエデ

デジタル大辞泉 「後方手」の意味・読み・例文・類語

しりえ‐で〔しりへ‐〕【方手】

手を後ろのほうに回すこと。後ろ手
「―に縛り、大きなる木に縛りつけたり」〈宇津保藤原の君〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「後方手」の意味・読み・例文・類語

しりえ‐でしりへ‥【後方手】

  1. 〘 名詞 〙 後ろの方に手を回すこと。うしろで。
    1. [初出の実例]「剣を抜きて、後手(しりへで)に布伎都都(ふきつつ)逃げ来るを」(出典古事記(712)上)
    2. 「髪に縄をつけてしりへでに縛り、大きなる木に縛りつけたり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)藤原の君)

後方手の語誌

( 1 )本来は単に身体の後ろに手を回す行為をいったが、「釈日本紀‐八」の師説に「今世厭物之時、必以後手也」とあり、中世には呪術的な動作と考えられていたことが分かる。
( 2 )人を呪う動作としては、「天の逆手を打つ」がある。この「逆手」は、普通とは逆の拍手の打ち方であると考えられるが、「しりえで」との関係は明らかになっていない。

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