釈日本紀(読み)しゃくにほんぎ

日本大百科全書(ニッポニカ)「釈日本紀」の解説

釈日本紀
しゃくにほんぎ

日本書紀』全30巻にわたるまとまった注釈書として現存最古のもの。目録とあわせて全29巻。卜部兼方(うらべかねかた)著。内容は開題(かいだい)、注音(ちゅうおん)、乱脱(らんだつ)、帝皇(ていおう)系図、述義(じゅつぎ)、秘(ひくん)、和歌の7部立てとし、『書紀』を詳しく注釈している。その父兼文(かねふみ)が1274~75年(文永11~建治1)のころ前関白一条実経(さねつね)に進講した講義案をもとに、これに平安初期以降宮廷で行われた講書の私記その他の旧を参照し1300年(正安2)ころにまとめ上げたと思われる。他にみえない各種古典を豊富に引用するなど、その価値は大きい。

[黛 弘道

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「釈日本紀」の解説

釈日本紀
しゃくにほんぎ

日本書紀』の注釈書。 28巻。卜部兼方 (うらべかねかた) の編。父兼文が文永1 (1264) 年または建治1 (75) 年に前関白一条実経らに講義したときの説をもとに,『日本紀私記』などの平安時代の注釈書を参照して編集。開題,注音,乱脱,帝皇系図,述義,秘訓,和歌の7部門から成る。特に後半の3部門が本書大半をなす。現在散逸している書物からの引用があり貴重。時代を反映して神道的色彩が濃い。『国史大系所収

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百科事典マイペディア「釈日本紀」の解説

釈日本紀【しゃくにほんぎ】

鎌倉末期,卜部兼方(うらべかねかた)が書いた《日本書紀》の注釈書。28巻。兼方の父兼文が一条実経に講義したものをにし,《上宮記》《風土記》ほか多くの古文書を参照し,訓だけでなく神道的解釈解題・述義など7部門に分けて注釈。中世の学問・思想を知る上で重要。散逸した古文書が引用されている点でも貴重。

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精選版 日本国語大辞典「釈日本紀」の解説

しゃくにほんぎ【釈日本紀】

「日本書紀」の註釈書。二八巻。卜部懐賢(兼方)編著。文永一一~正安三年間(一二七四‐一三〇一)に成立。奈良時代以降の書紀研究と卜部家々説を集大成したもの。訓や本書以前の書紀研究史が知られ、引用文によって現在失われている古書類をうかがえる。

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旺文社日本史事典 三訂版「釈日本紀」の解説

釈日本紀
しゃくにほんぎ

鎌倉末期,卜部兼方 (うらべかねかた) の著した『日本書紀』の注釈書
28巻。『弘仁私記』をはじめ諸文献を参照し,儒・仏的解釈も含めながら神道的立場から,奈良時代以来の『日本書紀』の研究を集大成した。現存最古の書紀注釈書。

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世界大百科事典 第2版「釈日本紀」の解説

しゃくにほんぎ【釈日本紀】

鎌倉時代に書かれた《日本書紀》の注釈書。著者は卜部(うらべ)兼方(懐賢)。28巻。略して《釈紀》とも。著作年代は未詳だが,兼方の父兼文が1274‐75年(文永11‐建治1)ころ前関白一条実経に講義したときの説にもとづいており,また1301年(正安3)には写本ができているので,その20余年の間に完成したものと考えられる。奈良~平安初期の朝廷でしばしば行われた《日本書紀》講読の記録である《日本紀私記》が,いずれも訓のみを問題にしているのに対して,兼方は父祖以来の家学を受けつぎ,諸種の私記のみならず《上宮記》《風土記》そのほか多くの古書を参照し,解題,注音,乱脱,帝王系図,述義,秘訓,和歌の7部門に分けて,注釈を集大成した。

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