後手(読み)ゴテ

デジタル大辞泉 「後手」の意味・読み・例文・類語

ご‐て【後手】

他に先を越されること。また、相手に先に攻められて受け身の立場になること。災害事故などへの対応が遅れること。「立ち上がりから後手に回る」「することなすことがみんな後手になる」⇔先手せんて
囲碁将棋用語
先手のあとで着手すること。また、その人。後手番。⇔先手
自分の着手に対し、相手が受けてくれず、他の好所に先着されてしまうこと。⇔先手
後詰め1」に同じ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「後手」の意味・読み・例文・類語

うしろ‐で【後手】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 「で」は物の位置、方向などを示す ) 物の後ろにあたる部分、方向。背面。また、人の、後ろから見た姿、ようす。後ろ姿
    1. [初出の実例]「道に逢(あ)はしし嬢子(をとめ) 宇斯呂伝(ウシロデ)は 小楯(をだて)ろかも」(出典古事記(712)中・歌謡)
    2. 「後手の歩たる姿、窈窕(たをやか)に微妙(めでた)し」(出典:今昔物語集(1120頃か)二四)
  3. 手を背中に回すこと。また、背後両手を組むこと。しりえで。
    1. [初出の実例]「Vxirodeni(ウシロデニ) シバラルル」(出典:日葡辞書(1603‐04))
  4. 古く、柏手(かしわで)の打ち方の一つ。後ろ向きになって手を打つ。手を背中に回して打つことともいわれる。→逆手(さかて)
    1. [初出の実例]「鎮魂祭〈略〉拍後手退出」(出典:延喜式(927)二)

ご‐て【後手】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 後方で事に備えること。後方に備えている予備軍勢。後詰。後陣。後備。〔運歩色葉(1548)〕
    1. [初出の実例]「後手之備如何之間、早々可引返之段」(出典:上杉家文書‐永祿一二年(1569)正月一七日・大川長秀書状)
  3. 囲碁・将棋で先手のあとで着手すること。また、その人。また、一般に相手に攻められ主導権をとられること、受身の立場に追いこまれることをもいう。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  4. 事を行なうのに他人に先を越されること。手遅れとなること。
    1. [初出の実例]「男のつめひらき皆後手(ゴテ)になりて」(出典:浮世草子・男色十寸鏡(1687)上)
    2. 「後手後手に役所から助左衛門に感謝状が届いた理由なのである」(出典:助左衛門四代記(1963)〈有吉佐和子〉五)

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