後手(読み)うしろで

精選版 日本国語大辞典「後手」の解説

うしろ‐で【後手】

〘名〙
① (「で」は物の位置、方向などを示す) 物の後ろにあたる部分、方向。背面。また、人の、後ろから見た姿、ようす。後ろ姿。
※古事記(712)中・歌謡「道に逢(あ)はしし嬢子(をとめ) 宇斯呂伝(ウシロデ)小楯(をだて)ろかも」
※今昔(1120頃か)二四「後手の歩たる姿、窈窕(たをやか)に微妙(めでた)し」
② 手を背中に回すこと。また、背後で両手を組むこと。しりえで。
日葡辞書(1603‐04)「Vxirodeni(ウシロデニ) シバラルル」
③ 古く、柏手(かしわで)の打ち方の一つ。後ろ向きになって手を打つ。手を背中に回して打つことともいわれる。→逆手(さかて)
※延喜式(927)二「鎮魂祭〈〉拍後手退出」

ご‐て【後手】

〘名〙
① 後方で事に備えること。後方に備えている予備の軍勢。後詰。後陣。後備。〔運歩色葉(1548)〕
※上杉家文書‐永祿一二年(1569)正月一七日・大川長秀書状「後手之備如何之間、早々可引返之段」
囲碁将棋先手のあとで着手すること。また、その人。また、一般に相手に攻められ主導権をとられること、受身の立場に追いこまれることをもいう。〔日葡辞書(1603‐04)〕
③ 事を行なうのに他人に先を越されること。手遅れとなること。
※浮世草子・男色十寸鏡(1687)上「男のつめひらき皆後手(ゴテ)になりて」
※助左衛門四代記(1963)〈有吉佐和子〉五「後手後手に役所から助左衛門に感謝状が届いた理由なのである」

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デジタル大辞泉「後手」の解説

ご‐て【後手】

他に先を越されること。また、相手に先に攻められて受け身の立場になること。災害や事故などへの対応が遅れること。「立ち上がりから後手に回る」「することなすことがみんな後手になる」⇔先手せんて
囲碁・将棋の用語。
㋐先手のあとで着手すること。また、その人。後手番。⇔先手
㋑自分の着手に対し、相手が受けてくれず、他の好所に先着されてしまうこと。⇔先手
後詰め1」に同じ。

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