朝日日本歴史人物事典 「後藤謙太郎」の解説
後藤謙太郎
生年:明治28(1895)
大正期の反逆的な詩人,反軍運動家。熊本県葦北郡日奈久町(八代市)生まれ。三井三池,松島,伊田などの炭鉱中心に底辺の労働生活を続けた。貧窮の中に反軍,反戦活動やアナキズム運動にも力を注いだ。吉田一らの労働社,中浜哲らのギロチン社にも関係。労働や運動のため,国内各地や満州(中国東北部)をまわったので,上田,栃木,宇都宮,熊本,東京,市ケ谷,千葉など各地の監獄にも繋がれるが,その各地から『労働者』『小作人』『関西労働者』『労働者詩人』などに詩,短歌を寄せた。大正11(1922)年岡山,金沢などで兵隊に反軍のビラをまいた軍隊宣伝事件で2年の刑に処せられ,服役中の東京巣鴨監獄で自殺した。<著作>『労働放浪監獄より』<参考文献>逸見吉三『墓標なきアナキスト像』
(小松隆二)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報