御前の浜
おまえのはま
西宮市の南の海浜の称で、広田の浜ともいった。一帯の海岸部は近世の新田開発などで埋立が進み、現在は夙川河口付近の西宮市西波止町地先の浜をいうが、浜から二〇〇メートル山側には前浜町の町名が残っている。「本朝神社考」所引の「摂津国風土記」逸文に「到摂津国海浜北岸広田郷、今号広田明神是也、故号其海辺曰御前浜、曰御前澳」とあるように、元来広田神社の前浜の意で、「古今著聞集」(巻一―一一)には後三条天皇の時、諸国の進貢船が「広田の御まへの澳」でたびたび難破したことがみえる。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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