御座有(読み)ござある

精選版 日本国語大辞典 「御座有」の意味・読み・例文・類語

ござ‐あ・る【御座有】

〘自ラ四〙 ござあ・り 〘自ラ変〙 (鎌倉時代に起こり、室町時代に多く用いられた語で、「ござる」の前身尊敬語・丁寧語ともに敬意の度合は極めて高い。→ござない)
[一]
① 「ある」「いる」の意の尊敬語。
(イ) 存在の主を敬っていう。おありになる。いらっしゃる。おいでになる。
平家(13C前)三「法皇は〈略〉錦帳ちかく御座あて」
※虎明本狂言・老武者(室町末‐近世初)「又是にござあるは、さる御かたにて候が」
(ロ) 所有主を敬っていう。おありになる。
※寛永刊本蒙求抄(1529頃)四「陛下は已に聖徳御座あって」
② 「行く」「来る」の意の尊敬語。いらっしゃる。おいでになる。
太平記(14C後)二七「御身は何くへ御座ある人ぞ」
[二] 補助動詞として用いる。
① 「ある」「いる」の尊敬語。
※太平記(14C後)一九「先帝第七の宮と一処に押し籠められて御座ありける処へ」
② 「ある」の意の丁寧語。〔ロドリゲス日本大文典(1604‐08)〕
※虎明本狂言・煎物(室町末‐近世初)「罷出たる者は、洛中に住居いたす者でござある」
[語誌](1)「おはす」「おはします」の漢字表記であった「御座」を、「ござ」と音読するようになり、鎌倉時代になると、ラ変動詞「あり」を下接して「御座(ござ)あり」の形で敬度の高い尊敬語として用いられ、室町時代には「ござある」と四段活用化した。
(2)時代が下るにつれ敬度は低下し、室町時代末から江戸時代初期にかけて、「ござる」が出現するが、この頃、尊敬語から丁寧語化していく。→「ござる(御座)」の語誌

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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