山川 世界史小辞典 改訂新版 「復古王政」の解説
復古王政(ふっこおうせい)
①〔フランス〕Restauration 1814年のナポレオン退位の後,ルイ18世がフランス王に即位して復活させたブルボン王朝を復古王政と呼ぶ。過激王党派が進出し,アンシャン・レジームの復活を望んだが,ルイ18世は「憲章」を発布して所有権の不可侵や法のもとでの平等を認め,革命の成果を保証した。だが,より反動的な弟のシャルル10世が即位すると(1824年),亡命貴族の財産補償問題が浮上し,カトリックの反動も強まったため,国民の不満が高まり,1830年に七月革命が生じて,復古王政は崩壊した。
②〔スペイン〕Restauración 一般に,1874年マルティネス・カンポス将軍のクーデタによるアルフォンソ12世の王政復古から,1923年のプリモ・デ・リベラ将軍のクーデタによる独裁体制樹立までの政治体制をさす。1876年憲法にもとづく立憲君主制下,政治家カノバス・デル・カスティリョの提唱で保守党と自由党による二大政党制が導入されて政権安定が図られたが,選挙にはカシキスモを伴った。アルフォンソ13世治下,第一次世界大戦には中立を維持する一方,モロッコ民族運動には武力で対峙した。また国内の共和主義,社会主義,アナーキズムの台頭と労働運動激化による政情不安が続き,1923年議会主義政治体制から逸脱するに至った。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報