改訂新版 世界大百科事典 「循環器科」の意味・わかりやすい解説
循環器科 (じゅんかんきか)
cardiovasology
循環器内科ともいう。1900年代に入って内科のなかの一専門分科として分化したもので,大学の講座,病院の診療科目,医師の専門領域の一つとして認められるようになった。日本でも35年から循環器学会が組織され,60年から九州大学をはじめとして講座が設置されるようになった。心臓・脈管系のあらゆる疾患を診療の対象としており,対象疾患に高血圧や動脈硬化など,成人病として最も頻度の高い疾患が多く,かつ慢性疾患が多いので,患者の数も多い診療科の一つである。1950年までに診断技術としての心電図や心臓カテーテル法が開発されて急速に進歩し,その後心臓外科,血管外科の技術の進歩とともにさらに診断技術の精度があがった。心臓は生命維持に不可欠の臓器であり,心筋梗塞(こうそく)や心ブロックなどの救急重症疾患も多いので,これに対して60年代から遠隔持続監視装置,電気的除細動装置,ペースメーカーなどの技術の進歩によって集中監視と治療を行う心臓集中治療室(CCU)や心臓救急車(mobile CCU)が開設されるようになり,治療成績の向上とともに,臨床研究の進歩を促して多くの成果をあげている。
執筆者:細田 瑳一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報