心学早染草(読み)しんがくはやそめぐさ

改訂新版 世界大百科事典 「心学早染草」の意味・わかりやすい解説

心学早染草 (しんがくはやそめぐさ)

黄表紙山東京伝作。北尾政美(まさよし)画。1790年(寛政2)刊。3冊。人間の行為はすべて内にある善魂(ぜんだましい)と悪魂(あくだましい)のなすわざであることを,商家の息子目前屋理太郎の身持ちの上にあらわすという作意。悪魂のしわざによって放蕩したことから勘当され,盗賊にまで落ちたが,善魂の勢力挽回によって教化されるという,黄表紙としては理屈くさい作品であるが,善悪の魂の争闘と,理太郎の行動とを二重の画面にあらわしたおもしろさで好評を博した。江戸における中沢道二の心学の流行をとり入れ,寛政改革の時代的風潮に応じようとした作者の機敏さもうかがわれる。この善玉悪玉趣向は,以後小説にも演劇にも多く模倣された。
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