心理強制説(読み)しんりきょうせいせつ(英語表記)Theorie des psychologischen Zwangs

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「心理強制説」の意味・わかりやすい解説

心理強制説
しんりきょうせいせつ
Theorie des psychologischen Zwangs

一般予防説の一種で,A.フォイエルバハにより主張された。法律刑罰を規定することにより,一般人心理を強制して犯罪を抑止できるとする説。人間はより大きな快楽を追求して合理的に行動するものであるとし,犯罪を行うに際し,それを抑制することの不快より大きな苦痛が刑罰として規定されていれば,行為者は犯罪を選択しないとする。このように考えることにより,フォイエルバハは,一般予防説に対するカント批判をかわすとともに,罪刑法定主義原則を確立した。

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世界大百科事典(旧版)内の心理強制説の言及

【フォイエルバハ】より

…その後バンベルク控訴院次長,さらにアンスバハ控訴院長を務めた。彼の刑法理論の根幹をなすのは〈心理強制説〉である。すなわち,人は犯罪からえられる快楽とそれに対して科される刑罰という苦痛とを比較し,苦痛が快楽より大きいときは犯罪を行わないように心理的に強制されるであろう。…

※「心理強制説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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