心異(読み)ココロコト

デジタル大辞泉 「心異」の意味・読み・例文・類語

こころ‐こと【心異/心殊】

[形動ナリ]
心が変化するさま。
きぬ着せつる人は、―になるなりといふ」〈竹取
趣が格別であるさま。印象が並々でないさま。
きんの御こと取りに遣はして―なる調べをほのかにかき鳴らし給へる」〈明石

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精選版 日本国語大辞典 「心異」の意味・読み・例文・類語

こころ‐こと【心異・心殊】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙
  2. 心の持ち方が変わっているさま。
    1. [初出の実例]「きぬ着せつる人は、心ことに成るなりと云ふ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  3. 他ときわだっているさま。
    1. (イ) 配慮が格別であるさま。念入りなさま。
      1. [初出の実例]「この度の事、ここにて初めてすることなるを、こころことに設けのものなど、いたはりてし給へ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
      2. 「しろき紙の、世のつねならぬさましたるに、心ことにひきつくろひて書きもやられず」(出典:夜の寝覚(1045‐68頃)一)
    2. (ロ) 気分趣きが格別に感じられるさま。並々でないさま。
      1. [初出の実例]「ここは、いとこころことに見ゆれば、簾(すだれ)まきあげて」(出典蜻蛉日記(974頃)上)
      2. 「心殊なるしらべを、ほのかに掻き鳴らし給へる」(出典:源氏物語(1001‐14頃)明石)

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