志斐嫗(読み)しいのおみな

改訂新版 世界大百科事典 「志斐嫗」の意味・わかりやすい解説

志斐嫗 (しいのおみな)

万葉歌人。生没年不詳。7世紀末,持統朝ごろ後宮に仕えた老女官。持統女帝の〈否(いな)と言へど強(し)ふる志斐のが強語(しひがたり)このころ聞かずて朕(あれ)恋ひにけり〉に答えて,しっぺ返しの歌〈否と言へど語れ語れとのらせこそ志斐いは奏(まを)せ強語と言ふ〉(《万葉集》巻三)を献じた。ある日の女帝と老女官のほほえましい交情である。彼女を中臣(なかとみ)氏系の語部(かたりべ)とする説も有力。その〈強語〉は後代の女房文学の出現を予想させるものでもある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 哲夫 井村

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む