改訂新版 世界大百科事典 「志斐嫗」の意味・わかりやすい解説 志斐嫗 (しいのおみな) 万葉歌人。生没年不詳。7世紀末,持統朝ごろ後宮に仕えた老女官。持統女帝の〈否(いな)と言へど強(し)ふる志斐のが強語(しひがたり)このころ聞かずて朕(あれ)恋ひにけり〉に答えて,しっぺ返しの歌〈否と言へど語れ語れとのらせこそ志斐いは奏(まを)せ強語と言ふ〉(《万葉集》巻三)を献じた。ある日の女帝と老女官のほほえましい交情である。彼女を中臣(なかとみ)氏系の語部(かたりべ)とする説も有力。その〈強語〉は後代の女房文学の出現を予想させるものでもある。執筆者:井村 哲夫 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「志斐嫗」の解説 志斐嫗 しひのおみな ?-? 飛鳥(あすか)時代の女官。「万葉集」巻3に持統天皇(在位690-697)の歌にこたえた1首がのる。志斐は氏の名とも,また歌の内容が強語(しいがたり)をめぐる応答であることから語り部の意ともいう。 出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例