語り部(読み)かたりべ

百科事典マイペディアの解説

古代,文字のなかった時代に語り伝えられて来た神話・歴史・伝承等を口誦で語り伝えることを職掌としていた人々,ないし集団。日本の古代では,各地の首長の下に隷属した部民(べみん)であった。平安時代には大嘗祭などの儀式のときに,諸国から召集されて〈古詞〉を奏した。〈古詞〉は祝詞(のりと)に似たかたりごとで,一部は歌曲風であったという。《古事記》を習した稗田阿礼(ひえだのあれ)も語り部に類する存在であったと推測される。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

広島平和記念資料館が1983年から被爆体験証言者として登録。現在33人おり、平均年齢は80・21歳(4月現在)。このほか独自に語り部活動をしている団体も多い。一方、広島市教委が2010年、小中高生にアンケートしたところ、広島に原爆が落とされた日時を正確に答えられたのは、小学4~6年で33%(1995年は56%)、中学生で56%(同75%)。答えられない子どもが増えている。

(2012-08-05 朝日新聞 朝刊 2社会)

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世界大百科事典 第2版の解説

大嘗祭(だいじようさい)に〈古詞〉を奏した部民(べみん)。平安朝の記録(《貞観儀式》《延喜式》など)によると,天皇の即位儀礼である大嘗祭のおり,美濃但馬出雲因幡丹波丹後淡路の諸国から計28人の語り部が召され,〈古詞〉を奏していた。祝詞(のりと)に似たかたりごとで,一部は歌曲風でもあったという(《北山抄》)。同時に吉野国栖(くず)が〈古風〉を,悠紀(ゆき)の国(大嘗祭の時,神事に用いる酒料,新穀などを献ずる国)の歌人が〈国風〉を奏した。

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