中国、清(しん)代初期の文人画家。四王(王時敏(おうじびん)、王鑑(おうかん)、王翬(おうき)、王原祁(おうげんき))に呉歴(ごれき)と惲格を加えて、四王呉惲(しおうごうん)または清初の六大家とよぶ。初名を格、字(あざな)を寿平(じゅへい)といったが、のち寿平が通常の名となり、正叔と字(あざな)す。号は南田(なんでん)。別に雲渓外史、白雲外史、東園草衣とも号した。常州(江蘇(こうそ)省武進県)出身で、もとは名家の出であったが、彼の生まれた明(みん)末には貧窮し、在野の画家として一生を過ごし、清貧のうちに56歳で没した。詩文とともに書もよくした。王翬と親交を結び、王翬の山水に優れているのをみて、山水画を断念して花鳥画に専心したと伝える。著色没骨(もっこつ)の写生画風をもってそれまでの花鳥画に新生面を開き、以後の清朝花鳥画の一典型となった。この花鳥画風は常州派とよばれ、この派から蒋延錫(しょうえんしゃく)、鄒一桂(すういっけい)、銭大昕(せんたいきん)が出た。
[星山晋也]
…中国,清代初期の画家。常州(江蘇省武進)の人。初名は格,字の寿平が通行したため,のちに字を正叔と改めた。号は南田,白雲外史,甌香(おうこう)散人など。四王呉惲の一人。はじめ伯父の惲向に画を学び,瀟洒な山水を描いたが,中年以後没骨(もつこつ)写生の花卉(かき)画により一家をなした。門下に馬元馭(ばげんぎよ),鄒顕吉,蔣廷錫(しようていしやく),惲冰(うんひよう),張子畏らがいる。常州派の中心画家で,清代の花鳥画に多大な影響を与えた。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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