惻隠の心(読み)そくいんのこころ

故事成語を知る辞典 「惻隠の心」の解説

惻隠の心

人の不幸を見てかわいそうだと思う、人間として当然の感情。

[使用例] 惻隠の心は、どんな人にもあるというじゃありませんか。奥さんを憎まず怨まず呪わず、一生涯労苦をわかち合って共に暮して行くのが、やっぱり、あなたの本心の理想ではなかったのかしら太宰治*竹青|1945]

[由来] 「孟子こうそんちゅう・上」の一節から。「もし、小さな赤ん坊井戸に落っこちそうになっているのを見たら、だれだって『惻隠の心』を持つはずだ。それは、その子の両親に取り入りたいと考えたからとか、世間の評判を気にするからとかではない。この『惻隠の心』こそが、『仁』の出発点なのだ」と述べています。これは、「孟子」が唱える性善説の大きな論拠となっています。

〔異形〕惻隠の情。

出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報

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