愛本橋(読み)あいもとばし

日本歴史地名大系 「愛本橋」の解説

愛本橋
あいもとばし

黒部四十八ヵ瀬の交通の難を緩和するため、寛文二年(一六六二)加賀藩五代藩主前田綱紀は峡口相本あいもとに特殊な形態の橋を架けさせ、地名用字も愛本と改めさせた。橋脚を用いず、両岸から橋材をせり出し、組合せた構造の橋を刎橋という。愛本橋は刎橋として日本一の規模で、日本三奇橋の一つといわれた。三四間余のものを橋杭を使わず支えることはきわめて難しく、一〇年ほどたつと橋は落下してしまった。新しく橋ができるまでは愛本橋下流で渡船が運航された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の愛本橋の言及

【三奇橋】より

…日本の古橋の中でとくに構造的に変わったものとしてあげられてきた岩国(山口県)の錦帯橋,甲斐(山梨県)の猿橋,黒部(富山県)の愛本橋をいう。愛本橋の代りに木曾の桟(かけはし)あるいは祖谷(いや)(徳島県)のかずら橋を入れる説もあるが,桟はけわしい崖に沿って板をかけ渡した橋で,構造的には上述の諸橋ほどの特色はない。…

※「愛本橋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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