感光核(読み)カンコウカク

化学辞典 第2版 「感光核」の解説

感光核
カンコウカク
sensitivity speck

銀塩写真で用いられるハロゲン化銀粒子において,潜像中心が形成されやすい場所をいう.化学増感の一つである硫黄増感が発見された際に,粒子表面に硫化銀核が形成されていると考え,これを感光核と名づけた.のちに,これは硫化銀の二量体であることがわかった.金増感が併用される場合には,硫化銀と硫化金からなる核が形成される.このような化学増感中心は,1個のハロゲン化銀粒子に多数形成される.これらは,はじめ,浅い電子トラップで,電子が捕獲されている間に格子間銀イオンと反応して銀核を形成し,これが成長して潜像中心になる.[別用語参照]写真感光理論

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「感光核」の意味・わかりやすい解説

感光核
かんこうかく
sensitivity speck

写真乳剤中の粒子は微細なハロゲン化銀結晶であるが,この結晶のところどころに不完全な配列個所があると考えられている。これを感光核という。光が乳剤に当って吸収されると,ハロゲン化銀結晶中に,自由に動き回るエネルギーの高い状態の電子 (自由電子) が生成し,これが感光核のところで,結晶中を遊動してきた銀イオンと結合し,中性の銀原子を生じる。このようにして生じた銀原子の数がある大きさ (4原子前後と考えられている) に達すると,現像核となる。現像はこの現像核から始り,やがてハロゲン化銀粒子が銀粒子に変り,黒化する。

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世界大百科事典(旧版)内の感光核の言及

【感光】より

…この電子と正孔の寿命は短いが,その間に電子または正孔は結晶中のエネルギー状態の低い部分(たとえば銀原子や硫化銀あるいは結晶格子の不規則な部分など)に捕獲される。このような部分(感光核sensitivity speckと呼ばれる)に電子が捕獲,蓄積されると,負の電荷が形成され,臭化銀結晶中の動きうる格子間銀イオンAgを引き寄せてその正電荷を中和する。その結果,臭化銀結晶中には銀原子Agが析出する。…

※「感光核」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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