国指定史跡ガイド 「慈光院庭園」の解説
じこういんていえん【慈光院庭園】
奈良県大和郡山市小泉町にある庭園。慈光院は眼下に奈良盆地を望む矢田丘陵の先端に位置する。江戸時代初期の有名な茶人・片桐貞昌(石州)の遺構であり、奈良盆地を借景とした庭であることから、1934年(昭和9)に国の名勝および史跡に指定された。奈良県下の庭園としては当麻(たいま)寺中之坊庭園に次ぐ2番目の指定。慈光院は、院全体がひとつの庭園として構成されており、敷地西南部の表門から入り、樹木に覆われた敷石の道を進んで二重茅葺きの門をくぐり、書院にいたる。書院は6室からなるが、西側の部屋を経た東端の主室「上の間」からは、低い生け垣越しに、山並みを背にした奈良盆地の景色が大きく広がる。書院の北側には茶室があり、その東と北の露地は築地塀と板塀で囲われた空間となっており、「上の間」とは対照的な雰囲気を漂わせている。JR関西本線大和小泉駅から徒歩約15分。