北海道中央部、上川(かみかわ)総合振興局管内の町。1958年(昭和33)町制施行。町名はアイヌ語トーオマナイ(沼に行く川の意)による。上川盆地の東部に位置し、旭川(あさひかわ)市の東に接する。JR石北(せきほく)本線、国道39号が通じる。1893年(明治26)屯田兵2個中隊400戸が入植して上川盆地開発の一翼を担った。石狩(いしかり)川が西縁を流れ、町域の西部は水田地帯、東部の山地は大部分が道有林で、中間の丘陵地は畑作地帯になっている。近年は稲作と、スイカ、メロン、トマトなどの野菜、花卉(かき)の栽培や養豚との複合経営が増えている。ほかに林業および林業副産物のシイタケ栽培、木材・木製品工業などがある。当麻鍾乳洞(しょうにゅうどう)(道指定天然記念物)は1957年石灰岩採掘中に発見され、当初は蝦夷蟠竜洞(えぞばんりゅうどう)と名づけられた。面積204.90平方キロメートル、人口6319(2020)。
[岡本次郎]
能の曲目。五番目物。五流現行曲。世阿弥(ぜあみ)作。奈良・當麻(たいま)寺の曼陀羅(まんだら)伝説に取材した能。念仏の僧(ワキ、ワキツレ)が當麻寺に参詣(さんけい)する。老尼(前シテ)が侍女(ツレ)を先だてて登場し、阿弥陀仏(あみだぶつ)を賛美したのち、僧に向かって、中将姫がここに籠(こも)って生身の阿弥陀仏を拝んだ奇跡、また仏の力添えで蓮(はす)の糸で曼陀羅を完成した話をし、自分たちがその阿弥陀如来(にょらい)と観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)の化身と告げて消える。僧の祈りのなかに、中将姫の精魂(せいこん)(後シテ)が極楽の歌舞の菩薩の姿で現れ、美しく澄みきった舞を舞い、仏教を賛嘆して終わる。気品と霊気の表現に優れた特徴があり、老女物に準じて扱われ、至難の能である。宗教的雰囲気がそのまま舞台に形象化、音楽化された卓越した例である。
[増田正造]
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