改訂新版 世界大百科事典 「慶安検地条目」の意味・わかりやすい解説
慶安検地条目 (けいあんけんちじょうもく)
1649年(慶安2)2月,江戸幕府が公布した検地条目。全体は検地掟,検地関係者の起請文前書(御縄打衆,案内者),検地仕様之覚の三つからなるが,通常いう検地条目は検地掟をさす。幕府が制定した最初の検地条目で,全27ヵ条からなる。第1条で検地担当者の心得を述べ,第8条で間竿(けんざお)(検地竿)の6尺1分を定め,第15条では分地を認めている。こうしたところからこの条目は,慶長年間(1596-1615)以来幕府の実施した検地基準を統一し集約したものと高く評価されている。しかしこの検地条目に疑問がなくもない。(1)この条目は幕府公撰の法令集にない。(2)私撰の法令集《条令拾遺》に収録されているが年次が不明であり,《徳川実紀》による年次確定が無批判に現在まで続いている。(3)検地条目は検地施行細則で検地の実施に先立って公布されるが,慶安年間に幕府は条目作成にあたいするような検地を行っていない。
執筆者:神崎 彰利
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報