成川ノ渡
なるかわのわたし
新宮城下の川原と熊野川対岸の成川(現三重県南牟婁郡紀宝町)の間に設けられた渡し。伊勢方面からの熊野参詣者は、古くは熊野川河口の鵜殿(現南牟婁郡鵜殿村)から飛鳥ノ渡で上熊野地に渡り、熊野新宮へ向かっていた。飛鳥は熊野川河口、阿須賀神社付近の呼名で、熊野川も河口では飛鳥川と称されていた(続風土記)。「熊野年代記」によると、飛鳥ノ渡は徳治元年(一三〇六)やや上流に移されて成川ノ渡となり、以後、城下を南北に抜ける横町通ができて熊野路と伊勢路を結ぶ重要な渡しとなった。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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