三重県最南端、南牟婁郡(みなみむろぐん)にあった旧村名(鵜殿村(むら))。現在は紀宝町南部の地区。2006年(平成18)紀宝町に合併。熊野川河口左岸に位置し、合併前は面積2.88平方キロメートルの県下最小の自治体であった。鵜殿の名称の由来は不明だが、南北朝期からみえる地名。平地に乏しく地域のなかばは丘陵性山地(最高点462メートル)で、集落は熊野川と熊野灘(なだ)に沿う狭い平地に限られる。JR紀勢本線と国道42号が通じる。古くから熊野川を利用する木材の集積地で製材所も多く、1950年(昭和25)紀州製紙が紙・パルプ工場を開設して工場町となった。河口に砂嘴(さし)が発達し潟をつくっているのを利用して鵜殿工業港の整備が行われ、1993年(平成5)に完成している。
[伊藤達雄]
『『鵜殿村史』全2巻(1991、1994・鵜殿村)』
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