日本と中国が、政治における信頼関係を醸成し、国民の相互理解を深めるなどしてさまざまな分野で共通の利益を目ざそうとする関係。2006年(平成18)10月に訪中した首相安倍晋三(あべしんぞう)と中国国家主席の胡錦濤(こきんとう)の間で合意し、2008年に胡主席が訪日した際に当時の首相福田康夫と『「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明』を発表した。具体的には、(1)政治的相互信頼の増進、(2)人的、文化的交流の促進および国民の友好感情の増進、(3)互恵協力の強化、(4)アジア太平洋への貢献、(5)グローバルな課題への貢献、などを日中双方が協力して推進することが盛り込まれた。政治体制の異なる日中両国の関係を初めて「戦略的」と表現したことで話題となった。しかし、2010年9月の尖閣(せんかく)諸島海域で起きた中国漁船衝突事件や2012年9月の日本政府による尖閣諸島国有化などにより、日中関係は悪化。中国側は政治、文化など多くの分野での日本との対話を拒否し、共同声明に盛り込まれた協力関係はほとんど実現できていない。
[矢板明夫]
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