手詰(読み)てづめ

精選版 日本国語大辞典 「手詰」の意味・読み・例文・類語

て‐づめ【手詰】

〘名〙
① きびしくつめ寄ること。きびしく攻めたてること。また、しきりに責め、なじること。じかにつめ寄ること。手攻(てぜめ)
太平記(14C後)一〇「是は敵を出抜(だしぬい)て、手攻(ヅメ)勝負を決せんがためなり」
② 進退きわまること。絶体絶命になること。せっぱつまること。窮迫すること。
日葡辞書(1603‐04)「Tezzumeno(テヅメノ)ショウブニ ナル
浄瑠璃・心中天の網島(1720)中「百重の囲は遁るる共のがれがたなき手づめのだん」
俳諧・新続犬筑波集(1660)九「ひきよせたりし石のかずかず 手つめをしうつ双六はきほひにて〈太源〉」
④ 取引市場で、売買を精算し、手仕舞うこと。特に、損失している状態を手仕舞うこと。〔取引所用語字彙(1917)〕

て‐づまり【手詰】

〘名〙
手段・方法がなくなって困ること。
上杉家文書‐(天正二年)(1574)九月二一日・佐竹義重書状「新田之地も追日手詰之由申来候」
金銭のやりくりができなくなること。手もとが苦しくなること。
※雑俳・蓬莱山(1709)「手づまりで・世間へしれた松をうる」
囲碁将棋で、有利に局面を進展させる望みのない状態をいう。てづめ。

て‐づま・る【手詰】

〘自ラ四〙
① 手段に窮する。手段・方法がなくなって困る。
※耳を掻きつつ(1934)〈長谷川伸〉巷の舌「彌兵衛はくらしに手詰ってきた」
② 金銭のやりくりができなくて困る。
浮世草子西鶴織留(1694)一「貧者の手づまる事かかる物入のありけるゆへぞかし」

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