手間山(読み)てまやま

日本歴史地名大系 「手間山」の解説

手間山
てまやま

寺内てらうち南方、西伯町との境界に位置し、標高は三二九メートル。天万山とも記し、要害ようがい山・岩壺いわつぼ(岩坪山)峰松みねまつ山ともいう。「古事記」大国主命段には「伯伎の国の手間の山本」とみえ、因幡の八上姫を大穴牟遅(大国主)に奪われた八十神が大穴牟遅を謀殺した山で、そのくだりは「「赤き猪此の山に在り。故、和礼共に追ひ下しなば、汝待ち取れ。し待ち取らずば、必ず汝を殺さむ。」と云ひて、火を以て猪に似たる大石を焼きて、まろばし落しき。爾に追ひ下すを取る時、即ち其の石に焼き著かえて死にき」とある。古くから大国主命受難の地として知られた。山の形からみて古代信仰の神奈備山であったと思われ、東麓寺内には大国主命を焼殺した大石が埋められているという赤猪岩あかいわ神社があり、西麓の西伯町清水川しみずがわには古代水分信仰の跡で、大国主命を蘇生させたとの伝承をもつ清水井がある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の手間山の言及

【会見[町]】より

…中心集落の手万はかつては出雲街道の宿場町であった。大国主神が兄神たちにあざむかれて焼石を抱いたという《古事記》にのる伝説で有名な手間山や山陰で最大の規模をもつ殿山古墳(前方後円墳)を含む三崎古墳群がある。農業を基幹産業とし,米作,タバコ,果樹栽培に肉牛飼育を取り入れた農業経営が行われる。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」