牛馬の飼料、田畑の肥草(こえぐさ)、屋根用のカヤなどを刈り取る野草地。地方によって草山(くさやま)、草刈り場、秣場(まぐさば)などとよばれた。自給的農業が支配的な時代には、耕地の地力維持、牛馬の飼料・敷料の供給源としての役割は大きく、山野だけでなく河川流域の低湿地を含めて広大な採草地が存在した。多くの場合、村人の共同管理の下に入会(いりあい)形態で利用され、入山日(鎌(かま)入れ、口あけ)、採草量、使用農具などを制限し、火入れを行って草の生産量を維持した。しかし肥料源としての必要性は、明治中期からの金肥(販売肥料)の普及によって低下し、飼料用としての役割も、耕種農業の副産物である茎葉類・稲麦藁(わら)の増加、および1950年代後半からの草地造成・牧草栽培の進展によって大きく後退し、林地や耕地へ転換されていった。今日では実用に供されている野草地は少なく、造成したまま施肥や補播をしない牧草地を含めて採草地とする場合が多い。日本全国の放牧地とあわせた採草地・放牧地面積は、1995年農業センサスによると6万3180ヘクタールで、1980年の15万ヘクタールと比べても大きく後退した。
[宇佐美繁]
…植生を基準にした場合,植生がシバ,ススキ,ササ類などの野草からなる草地を野草地,オーチャードグラス,ラジノクローバーなどの牧草からなる草地を牧草地に区分し,後者はさらに,寒地原産のオーチャードグラスなどを植生とする寒地型牧草地と暖地原産のバヒアグラスなどを植生とする暖地型牧草地とに細区分される。また,利用法を基準とした場合は植生の種類にはかかわりなく,放牧に利用する草地を放牧草地,生草利用,サイレージ調製,乾草調製などのために採草する草地を採草地,放牧および採草に両用する草地を兼用草地に区分する。
[世界および日本の草地]
一般に草地は地球規模で巨視的に見ると,乾燥または半乾燥気候で樹木の育たない,植物生態学でいう極相が草原になる地帯に成立し,安定する。…
※「採草地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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