打眺める(読み)ウチナガメル

デジタル大辞泉 「打眺める」の意味・読み・例文・類語

うち‐なが・める【打(ち)眺める】

[動マ下一][文]うちなが・む[マ下二]
はるか遠くを見渡す。
「あれがル、アーヴルの港だといって―・めて居たのである」〈荷風・ふらんす物語
ぼんやり物を見つめて、物思いに沈む。
「火をつくづくと―・めて、ものをいとあはれと思ひたる」〈とりかへばや・下〉

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精選版 日本国語大辞典 「打眺める」の意味・読み・例文・類語

うち‐なが・める【打眺・打詠】

  1. 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]うちなが・む 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙 ( 「うち」は接頭語 )
  2. [ 一 ] ( 打眺 )
    1. 何を見るともなくつくづくと物思いにふける。すっかり思い沈む。
      1. [初出の実例]「この女いとよう仮粧(けさう)じて、うちながめて」(出典伊勢物語(10C前)二三)
    2. はるか遠くを見渡す。展望する。また、じっと見つめる。
      1. [初出の実例]「南に立出て、三保の松原うちながめ」(出典:仮名草子・竹斎(1621‐23)下)
      2. 「姑くお春の顔を打眺めて居たりしが」(出典:雪中梅(1886)〈末広鉄腸〉下)
  3. [ 二 ] ( 打詠 ) 声を長々と引いて詩歌を吟詠する。
    1. [初出の実例]「石もこけむして、『なにがしがつかに草初めて青し』とうちながめられて」(出典:高倉院升遐記(1182))

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