把笏(読み)はしゃく

改訂新版 世界大百科事典 「把笏」の意味・わかりやすい解説

把笏 (はしゃく)

威儀を備えるために笏(しゃく)をもつ服制のひとつ。中国では古くから把笏の制度があり,もともとは覚書などを記して備忘用としての意味をもっていた。日本では,大宝令まで把笏の規定がなかったと推測され,養老衣服令で初めて把笏が規定されたが,実態的には大宝令制下719年(養老3)2月,はじめて職事官(しきじかん)に把笏が命ぜられ,五位以上の貴族官僚牙笏(げのしやく),六位以下は木笏(もくしやく)をもつと区別された。そして同年6月における把笏身分の範囲拡大をはじめとして,しだいに身分を降して範囲が広げられたが,その把笏身分の範囲にある官僚・職員たちを〈把笏之色(はしやくのしき)〉とよび,範囲外の職員と区別された。把笏制は,その後長く維持されたが,威儀を備えるとともに,平安時代にも備忘録的な目的に用いられた例がみえる。現代においては,宮中における儀式や,神事に奉仕する神職たちに把笏が行われている。
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