投資乗数(読み)とうしじょうすう(その他表記)investment multiplier

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「投資乗数」の意味・わかりやすい解説

投資乗数
とうしじょうすう
investment multiplier

投資が1単位変化したとき,その変数を含む経済体系のなかの変数 (たとえば国民所得) が,限界的にどれだけ変化するかを示す倍率。いま国民所得 Yが消費 Cと投資 Iとから(YCI),消費 Cは国民所得に依存する部分と固定した部分とから C=αY+βが成り立つとすれば,このとき投資をふやすと所得が増加し,それに見合って消費が増加し,それが再び所得を増加させるというように,投資の増加分以上に国民所得が増加するが,この国民所得の増加分 ΔY の投資の増加分 ΔI に対する割合が投資乗数といわれるもので,1/ (1-α) という値をとる。乗数の概念は最初 R.F.カーンが公共支出を増加させることによる雇用の増加 (雇用乗数 ) として論じたが,J.M.ケインズはこれを乗数理論として定式化し,投資乗数による貯蓄・投資の所得決定理論や公共支出の政策的意義などを明らかにした。

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改訂新版 世界大百科事典 「投資乗数」の意味・わかりやすい解説

投資乗数 (とうしじょうすう)

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世界大百科事典(旧版)内の投資乗数の言及

【乗数理論】より

…したがって彼の雇用乗数は,投資財産業における一次的雇用が,限界的に1単位だけ増加したときに,全雇用量が限界的にどれくらい変化するかを示すものである。 カーンの理論にしろ,ケインズの理論(投資乗数investment multiplier理論)にしろ,公共投資の増加がどのような効果を均衡所得水準や雇用量に与えるのかという点を問題としている。しかしこの理論を実際に使おうとする場合,次の2点に留意しなければならない。…

※「投資乗数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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