化学辞典 第2版 「抽出装置」の解説
抽出装置
チュウシュツソウチ
extractor
抽出とは,固体や液体(抽料)中の目的成分(抽質)を溶媒(抽剤)に移動させることにより分離する操作であり,これを工業的に行う装置をいう.その操作には,回分抽出,並流多回分抽出,向流多段抽出などがある.工業的には,向流多段抽出がもっとも広く用いられている.液-液抽出装置には,通常,抽料から抽剤への物質移動を促進するために抽料を微小滴に分散し,抽剤と混合する部分と,微小滴を集めて均一な液体にさせる部分とがある.微小滴を生じさせるため,スプレー塔,多孔板塔,充填塔,邪魔板塔などの重力によるものと,機械的なかくはんによるものとして,槽型(ミキサーセトラー型([別用語参照]セトラー)),回転円板型,回転円筒型,かくはん槽を多段化した形のミクスコ(Mixco)型およびシャイベル(Scheibel)塔,また,液体に機械的な振動を与えるようにした脈動抽出塔など多種のものがある.固体抽出装置には,
(1)固体層に抽剤を注ぐ形式のものと,
(2)固体を抽剤中に分散させる形式のもの,
とがある.
(1)の形式には,回分式としては槽型,また連続式としては固体をバケットエレベーター,コンベヤーなどで装置内に移動し,抽剤を上から注ぐ形式のボールマン(Bollman)型,ロトセル(Rotocel)型などがある.
(2)の形式には,回分式としてはかくはん槽型,連続式としては塔を多段に分け各段に円板を有するボノトー(Bonotto)型があり,またシックナーもこの形式の抽出装置として用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報