日本大百科全書(ニッポニカ) 「シックナー」の意味・わかりやすい解説
シックナー
しっくなー
thickener
大量の液体中に浮遊している固体粒子を、重力の作用により沈殿分離させる(この方法をシックニングという)連続式の沈殿濃縮装置。1906年、アメリカのドルJ. V. N. Dorrによって初めて考案された。清澄槽が清澄な溢流(いつりゅう)を得るのを主目的とするのに対し、シックナーは、排出泥をできるだけ濃縮した状態で取り出すことを主目的とする。
槽中央上部の給泥口より供給された固体粒子の懸濁液は、槽内を放射状に槽周壁に向かって流れていく間に固体粒子を沈降分離し、清澄になった上澄み液は槽周壁に設けられた溢流樋(とい)を通って槽外に取り出される。一方、槽底にたまり濃縮脱水された泥漿(でいしょう)(スラッジ)は、槽中央の回転軸に取り付けられたかき取り羽根で槽中央に集められ、下底中央の排泥口から泥漿ポンプなどで排出される。シックナーは大きな床面積を要するので、その節約などの目的で2~3個のシックナーを重ねた重ねシックナーなどがある。化学工業のほか、上下水道、廃水処理などに広く用いられる。
[早川豊彦]