シックナー(英語表記)thickener

翻訳|thickener

改訂新版 世界大百科事典 「シックナー」の意味・わかりやすい解説

シックナー
thickener

沈降濃縮装置ともいう。液体中に分散混合している少量の固体粒子を重力の作用で沈降させ高濃度のスラッジ泥漿)として液体から分離する方法をシックニング沈降濃縮)といい,これを連続的に行う工業的装置をシックナーという。大量の固体混合液の固液分離に用いられる。またとくに清澄液を得るのを目的とする場合を清澄器(クラリファイヤー)として区別することがある。図はその代表的な例で,槽上方中央より粒子混合液(スラリー)を供給すると,清澄となった液はとい(樋)を越えて溢流(いつりゆう)するとともに,高濃度に濃縮された泥状スラッジは排泥として重力またはポンプにより槽底から引き抜かれる。槽はコンクリートや鋼板製で直径200mを超えるものがあり,設置所要面積を節約するため多段に重ねた形式や,槽内に多数の傾斜板を平行に挿入して沈降有効面積を増加させるものがある。化学反応による生成粒子や抽出後の固体の分離洗浄には連続向流洗浄シックナーが使われる。上下水,排水,化学工業,鉱業などのプロセスの固液分離装置として使用される。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シックナー」の意味・わかりやすい解説

シックナー
しっくなー
thickener

大量の液体中に浮遊している固体粒子を、重力の作用により沈殿分離させる(この方法をシックニングという)連続式の沈殿濃縮装置。1906年、アメリカのドルJ. V. N. Dorrによって初めて考案された。清澄槽が清澄な溢流(いつりゅう)を得るのを主目的とするのに対し、シックナーは、排出泥をできるだけ濃縮した状態で取り出すことを主目的とする。

 槽中央上部の給泥口より供給された固体粒子の懸濁液は、槽内を放射状に槽周壁に向かって流れていく間に固体粒子を沈降分離し、清澄になった上澄み液は槽周壁に設けられた溢流樋(とい)を通って槽外に取り出される。一方、槽底にたまり濃縮脱水された泥漿(でいしょう)(スラッジ)は、槽中央の回転軸に取り付けられたかき取り羽根で槽中央に集められ、下底中央の排泥口から泥漿ポンプなどで排出される。シックナーは大きな床面積を要するので、その節約などの目的で2~3個のシックナーを重ねた重ねシックナーなどがある。化学工業のほか、上下水道、廃水処理などに広く用いられる。

[早川豊彦]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「シックナー」の解説

シックナー
シックナー
thickener

固体濃度の低い懸濁液を沈殿濃縮する装置.連続処理する形式が多く用いられ,円形連続シックナー,角形連続シックナー,および床面積が比較的小さくてすむ多室式シックナーなどがある.代表的な形式である円形連続シックナーは,円すい状の浅い円筒形沈降槽を有し,槽の中央部に原液を供給する.液が周辺に向かって流れていく間に固体粒子は沈降分離され,清澄になった液は溢流樋(いつりゅうとい)に流れ,底部に沈積した泥漿は回転するかき取り羽根レーキによって中央に集められ,排泥口からスクリューコンベヤー,泥漿ポンプなどを用いて取り出される.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「シックナー」の解説

シックナー

 (1) 粘度の低い食品材料の粘度を高めるために使われる物質.アカシアゴムなど.(2) 懸濁液に懸濁されている固体を沈殿させる装置もしくは機械

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

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