改訂新版 世界大百科事典 「シックナー」の意味・わかりやすい解説
シックナー
thickener
沈降濃縮装置ともいう。液体中に分散混合している少量の固体粒子を重力の作用で沈降させ高濃度のスラッジ(泥漿)として液体から分離する方法をシックニング(沈降濃縮)といい,これを連続的に行う工業的装置をシックナーという。大量の固体混合液の固液分離に用いられる。またとくに清澄液を得るのを目的とする場合を清澄器(クラリファイヤー)として区別することがある。図はその代表的な例で,槽上方中央より粒子混合液(スラリー)を供給すると,清澄となった液はとい(樋)を越えて溢流(いつりゆう)するとともに,高濃度に濃縮された泥状スラッジは排泥として重力またはポンプにより槽底から引き抜かれる。槽はコンクリートや鋼板製で直径200mを超えるものがあり,設置所要面積を節約するため多段に重ねた形式や,槽内に多数の傾斜板を平行に挿入して沈降有効面積を増加させるものがある。化学反応による生成粒子や抽出後の固体の分離洗浄には連続向流洗浄シックナーが使われる。上下水,排水,化学工業,鉱業などのプロセスの固液分離装置として使用される。
執筆者:渡辺 治夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報