精選版 日本国語大辞典 「拘う」の意味・読み・例文・類語
かかずら・うかかづらふ【拘・係】
- 〘 自動詞 ワ行五(ハ四) 〙
- ① つながりを持つ。関係する。関連がある。かかわる。かかずらわる。かかずりあう。
- [初出の実例]「ここかしこあまたかかづらひ給ふをぞ、まことにおとなび給はむ程は、むつかしき事もやとおぼえける」(出典:源氏物語(1001‐14頃)紅葉賀)
- ② 仕事にたずさわる。その事にかかりきりになる。従事する。
- [初出の実例]「受領といひて、人の国の事にかかづらひいとなみて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
- ③ 現世、俗世と縁を切れないでとどまる。生きながらえる。また、出家せずにいる。
- [初出の実例]「惜しげなき身をさまざまに引きとどめらるる祈り、願などの力にやさすがにかかづらふも」(出典:源氏物語(1001‐14頃)柏木)
- ④ 関心を持ってつきまとう。まといつく。
- ⑤ めんどうな、好ましくない事にかかわりを持って制約される。こだわる。拘泥(こうでい)する。なずむ。
- [初出の実例]「当座にては句を作る事計にかかつらふべきにや」(出典:片端(15C中))
- 「など貧福の事に係(カカ)づらひ給ふべき」(出典:読本・雨月物語(1776)貧福論)
拘うの補助注記
「かく(掛)」と同根。「づらふ」は「ひこづらふ」「あげつらふ」などの「つらふ」で、「互いに…する」意を表わすか。あるいはまた、「かかづる」に反復・継続の助動詞「ふ」が付いたものか。ただし、「かかづる」との先後関係は不詳。