最新 地学事典 「拡散クリープ」の解説
かくさんクリープ
拡散クリープ
diffusion creep
高温・低応力下で原子の自己拡散によって起こる線形クリープ。圧縮側粒境界と伸張側粒境界の間には空孔(va-cancy)の濃度差が生じ,空孔は伸張側から圧縮側へ,また原子はその逆方向に拡散して変形が進行。拡散が粒内拡散であるときにはナバロ-ヘリング・クリープ(Nabarro-Herring creep),粒界拡散であるときにはコブル・クリープ(Coble creep)と呼ばれる。粒界拡散によって粒境界に沿う結晶粒どうしのすべりが起こり,多結晶粒の配置が変わることによって大きな流動変形が起こる場合には,超塑性(superplasticity)と呼ばれる。コブル・クリープは,圧力溶解による変形と類似。拡散クリープの特徴は,歪み速度が応力に比例する線形クリープであること,結晶内すべりが重要な変形機構ではないために結晶格子の選択配向が起こらないことである。クリープ速度は,ナバロ-ヘリング・クリープとコブル・クリープの場合には,それぞれ結晶粒径の2乗および3乗に反比例。つまり,拡散クリープは,細粒な岩石ほど拡散経路が短くなるので急速に起こりやすくなる。下部地殻の細粒剪断帯とマントルの一部では,拡散クリープが起こっている可能性がある。参考文献:J.P.Poirier(1985) Creep of Crystals, Oxford Univ. Press
執筆者:嶋本 利彦・竹下 徹
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

