クリープ(読み)くりーぷ(英語表記)creep

翻訳|creep

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クリープ」の意味・わかりやすい解説

クリープ
くりーぷ
creep

一定の大きさの力が加わっているとき、時間の経過とともに材料の変形が増大していく現象。たとえば、ゴム紐(ひも)におもりを結び付けてつり下げると、ゴムは瞬間的に伸びるが、そのまま放置しておくと、時間がたつにしたがってゴムは徐々に伸びていく。このような現象はプラスチックなどで顕著に現れるが、鉄鋼、銅などの金属材料、またコンクリートなどでもおこる。金属材料などでは常温ではほとんど感知できないが、高温、高荷重の場合には無視できない。金属などが高温で荷重を受けるときには、最初のうち、ひずみは時間とともに急速に大きくなり、次の段階でひずみの時間的変化はほぼ一定となり、最後にひずみが急速に進み、ついに破断する。最初の部分を第1期クリープ、次の段階を第2期クリープ、最後のところを第3期クリープという。ロケットエンジンのように高温のもとで運転されるものについては、設計段階でクリープを考慮する必要がある。

[中山秀太郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クリープ」の意味・わかりやすい解説

クリープ
creep

固体に一定の応力を加えたままにしておくとき,経過時間とともにひずみが増大する現象。金属材料では結晶面のずれによる塑性変形が,また高分子材料では粘弾性挙動が主因になって起る。金属材料にある温度で静応力を負荷する場合,応力が高いほど,単位時間あたりのクリープ速度 (ひずみの増加速度) が大きく,ある応力をこえれば時間の進行とともに遷移クリープ定常クリープ加速クリープの各形態が現れる。加速クリープが開始されると,一般には短時間で破断が起きるため,加速クリープの開始点までを解析対象とすることが多い。比較的高いサイクルの繰返し応力が加わるときにも,繰返し数とともにひずみが増加する。この現象を動クリープという。高温では疲れと合せて考える必要がある。

クリープ
creep

ころがり軸受において,回転軸と内輪がゆるくはめられている場合に,しばしば内輪が軸回転方向とは逆方向に滑る運動がみられる。外輪についても同様な現象が生じ,これらをころがり軸受のクリープという。広義には回転方向と無関係に,はめあい面において駆動側が相手に対して駆動方向に滑ることを含めていうことがある。軸受面の発熱と摩耗が著しくなれば事故につながる。

クリープ
creep

(1) 土地の表層部がゆるやかな速さで斜面上をすべり下る現象。山地の傾斜面に生えたスギの木などで,直立した根もとが下方にひどく湾曲しているのはこの現象のためである。 (2) 石炭坑道,隧道などの岩盤が地圧のため押出す盤ぶくれの現象。岩盤が粘土質で,水を含むときにしばしば生じる。

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