化学辞典 第2版 「挿入化合物」の解説
挿入化合物
ソウニュウカゴウブツ
insertion compound
錯体の一種で,ホスト成分が空孔をつくり,そのなかに第二の分子状の化学種(ゲスト)が取り込まれたもの.結晶の場合は,結晶格子に長いトンネルあるいはチャンネル状の空間が存在し,そのなかにゲストが存在する.ホスト-ゲスト間には共有結合はなく,一般にファンデルワールス力によって結びついている.ホスト格子中の空間が閉じていて,そのなかにゲストがトラップされている場合は,包接化合物という.層間化合物も挿入化合物の一種で,ゲスト分子は化学結合せずに層間に出入りする.リチウムイオン電池の負極の黒鉛に Li+ が出入りするのは,このケースである.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報