デジタル大辞泉
「捲」の意味・読み・例文・類語
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まく・る【捲】
[1] 〘他ラ五(四)〙
① 物の端を巻いて上にあげる。まきあげる。かきあげる。〔享和本新撰字鏡(898‐901頃)〕
※杜詩続翠抄(1439頃)九「つし風也。まくって吹風也」
② はぐ。はがす。
※木工権頭為忠百首(1136頃)雑「塗りおきしとりのはがひのからし故からくもまくる君が方哉〈
源頼政〉」
③ 重なっている紙などを一枚ずつ裏返す。めくる。
※俳諧・斧の柄(1811)「不用にまくりたる此集を見ん人よしよし猿は先へゆく尻を笑はは
わらへといふ事をしりえに書けとあるにまかせて書」
④ 追いのける。追いちらす。追いたてる。のける。
※
太平記(14C後)二六「巻
(マクッ)つ巻られつ互に命を惜まで、七八度まで揉合たるに」
⑤ (「
怪我(を)まくる」の形で用いて) 「する」の意をののしっていう。しくさる。
※虎明本狂言・
抜殻(室町末‐近世初)「中々おく事はならぬ、そこもとにいてけがまくるな」
⑥ (他の動詞の連用形について
接尾語のように用いる) 動作を休みなく、また激しく行なう様子を表わす。盛んに…する。「言いまくる」「突きまくる」「書きまくる」など。
※玉塵抄(1563)
一二「
廷争は
朝廷で大ぜいの
臣下と物を云てあらそう時はたれでまり云まくらうずやうないぞ」
⑦
競輪で、先行者との
距離を縮めて一気に追い抜く。
※内輪外輪(1966)〈
新橋遊吉〉「こんなもんこの儘すんなり行くかいな、7番が捲くりよるわい」
めく・る【捲】
〘他ラ五(四)〙 (「まくる(捲)」の変化した語)
① 巻くようにしてあげる。あげてひっくりかえす。
※名語記(1275)五「おなじやうに、めくれば也」
※桐の花(1913)〈北原白秋〉ふさぎの虫「
一帖の
半紙を一枚飜
(メク)ると」
② はがす。はぐ。
※和英語林集成(
再版)(1872)「Mekuri, ru,
tta メクル 捲〈略〉ヤネノ カワラヲ mekuru
(メクル)」
③ めくりカルタをする。
※
洒落本・妓者呼子鳥(1777)一「今までめくっておりやした」
めくり【捲】
① めくること。また、そのもの。
※洒落本・
辰巳之園(1770)「早くしまふたら、めくりをうとふ」
※
随筆・牟芸古雅志(1826)跋「古傘
(ふるぼね)の油紙
(メクリ)」
④
寄席などで、観客に知らせるために
演題と演者を書いた紙。
※巷談本牧亭(1964)〈安藤鶴夫〉会いろいろ「上手に演題と演者を知らせるめくりがあって」
まく・れる【捲】
〘自ラ下一〙 まく・る 〘自ラ下二〙
① まくったように上にあがる。めくれる。
※仮名草子・むさしあぶみ(1661)下「火をよけんとする中に、まくれかかる煙にむせびて」
※花間鶯(1887‐88)〈末広鉄腸〉下「巻(マ)くれし蒲団を老父の肩に掛け」
② 三味線や歌が部分的に速くなりすぎて、演奏が乱れる。
めく・れる【捲】
〘自ラ下一〙 はがれてあがる。まくった状態になる。まくれる。
※咄本・軽口露がはなし(1691)四「かの仏の御面くるりとめくれ、鬼の顔に成けり」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報