安藤鶴夫(読み)アンドウツルオ

デジタル大辞泉 「安藤鶴夫」の意味・読み・例文・類語

あんどう‐つるお〔‐つるを〕【安藤鶴夫】

[1908~1969]演劇評論家・小説家。東京の生まれ。本姓、花島。愛称あんつる」。父は義太夫の8代目竹本都太夫みやこだゆう。都新聞(東京新聞の前身)の芸能記者として落語文楽などの伝統芸能の批評執筆江戸っ子らしい歯切れのよい文体で知られた。「巷談本牧亭こうだんほんもくてい」で直木賞受賞。

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20世紀日本人名事典 「安藤鶴夫」の解説

安藤 鶴夫
アンドウ ツルオ

昭和期の演劇評論家,小説家



生年
明治41(1908)年11月16日

没年
昭和44(1969)年9月9日

出生地
東京・浅草

本名
花島 鶴夫(ハナシマ ツルオ)

学歴〔年〕
法政大学文学部仏文科〔昭和9年〕卒

主な受賞名〔年〕
直木賞(第50回)〔昭和38年〕「巷談本牧亭」,勲四等旭日小綬章

経歴
昭和9年法政大学を卒業し、14〜22年都新聞(現・東京新聞)に勤務し、以後文筆に専念久保田万太郎に心酔し、15年まで下町の浅草、本所に住む。都新聞時代は文楽、落語の批評を担当。21年「落語鑑賞」を連載して注目され、25年以降は読売新聞社嘱託として劇評を執筆。38年「巷談本牧亭」で直木賞を受賞、小説、随筆の分野で下町好みの独自な世界をひらいていった。没後「安藤鶴夫作品集」(全6巻 朝日新聞社)が刊行された。

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改訂新版 世界大百科事典 「安藤鶴夫」の意味・わかりやすい解説

安藤鶴夫 (あんどうつるお)
生没年:1908-69(明治41-昭和44)

演劇評論家,小説家,随筆家。東京浅草生れ。本名花島鶴夫。父は8代目竹本都太夫。法政大仏文科卒後,都新聞社に入り,1947年に退社,50年に読売新聞社嘱託となる。《都新聞》で文楽,落語の批評を担当,著書《落語鑑賞》は名著とされた。《読売新聞》やラジオで劇評をおこなったが,俳優の芸への感動を言葉にするのを特色とした。久保田万太郎に傾倒して,62年には講談に生命を賭けた講釈師をめぐる下町の人情の世界を描く《巷談本牧亭(こうだんほんもくてい)》を発表,直木賞を受賞した。68-69年《読売新聞》に連載した《三木助歳時記》が未完絶筆となった。尻尾まであんの入ったたい焼に涙を流す随筆を書いた人情家だった。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「安藤鶴夫」の意味・わかりやすい解説

安藤鶴夫
あんどうつるお
(1908―1969)

作家、演劇評論家。東京生まれ。父は義太夫(ぎだゆう)の竹本都太夫(みやこだゆう)。法政大学仏文科卒業。1939年(昭和14)都新聞(現、東京新聞)に入社、芸能記者として活躍。1946年から雑誌『苦楽(くらく)』に『わが落語鑑賞』を執筆、好評を得た。1947年から『読売新聞』の劇評を担当し、歌舞伎(かぶき)、文楽、落語などの評やエッセイを書く。小説や戯曲も書き、1964年『巷談本牧亭(こうだんほんもくてい)』で直木賞を受賞。浅草生まれの東京人らしい、明快で率直な語り口に特色があった。

[水落 潔]

『『安藤鶴夫作品集』全6巻(1970~1971・朝日新聞社)』『『わが落語鑑賞』(1965・筑摩書房)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「安藤鶴夫」の意味・わかりやすい解説

安藤鶴夫
あんどうつるお

[生]1908.11.16. 東京
[没]1969.9.9. 東京
演劇評論家,小説家。本姓,花島。父は義太夫の8世竹本都太夫。 1934年法政大学仏文科卒業。 39~47年『都新聞』記者として文楽,落語評を担当。『読売新聞』の劇評,芸談聞き書きなどに活躍したが,のち小説に手を染め,寄席演芸の世界を描いた『巷談本牧亭』 (1962) で直木賞を受けた。ほかに『落語鑑賞』 (46) ,『三木助歳時記』 (68~69) など。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「安藤鶴夫」の解説

安藤鶴夫 あんどう-つるお

1908-1969 昭和時代の演劇評論家,小説家。
明治41年11月16日生まれ。義太夫(ぎだゆう)の8代竹本都太夫の子。昭和14年都新聞にはいる。のち読売新聞にうつり歌舞伎,文楽,落語などの批評を担当した。39年「巷談本牧亭(こうだんほんもくてい)」で直木賞。昭和44年9月9日死去。60歳。東京出身。法大卒。本名は花島鶴夫。

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367日誕生日大事典 「安藤鶴夫」の解説

安藤 鶴夫 (あんどう つるお)

生年月日:1908年11月16日
昭和時代の演劇評論家;小説家
1969年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の安藤鶴夫の言及

【本牧亭】より

…1857年(安政4)に軍談席本牧亭として始められた。本邦唯一の講談席として,安藤鶴夫の小説《巷談本牧亭》(1962年新聞連載,1963年単行本)の舞台にもなった特異な席だったが,のちには,1ヵ月のうち数日間だけ講談で興行し,その他の日は,落語,講談,浪曲,新内などの独演会などに貸すという形式を採るようになった(1990年閉鎖)。江戸末期から明治初期にかけては,1階が住居,2階が寄席という建物が多かったが,本席はその面影をとどめる建築様式(現在の建物は1972年に新築開場)を採っている。…

※「安藤鶴夫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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