化学辞典 第2版 「排気ガス(自動車の)」の解説
排気ガス(自動車の)
ハイキガス
exhaust emission
工場の排煙とともに大都市の大気汚染の主原因となっている.排気ガスの成分は二酸化炭素や水蒸気のほか,一酸化炭素,炭化水素,窒素酸化物(NOx),硫黄酸化物,アルデヒド,および粒子状物質(PM)などである.とくに窒素酸化物や硫黄酸化物が,オキシダントや酸性雨など大気汚染の原因とされ問題になっている.ガソリンエンジンでは,エンジンの改良とともにRd,Rh,Ptを用いた三元触媒の開発などにより,一酸化炭素,窒素酸化物の排出量が規制前の数% レベルまで削減されている.また,アンチノック剤としてガソリンにアルキル鉛(四エチル鉛など)が添加されていたが,その毒性により,わが国では1983年に添加が禁止されている.ディーゼルエンジンでは,ガソリンエンジンに比べて一酸化炭素,炭化水素の排出割合は少ないが,粒子状物質の排出が健康上大きな問題となっている.こうした排気ガス問題を解決するために,水素ガスや天然ガスなどの燃料電池方式による,次世代自動車の開発も進められている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報