コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

アルデヒド aldehyde

翻訳|aldehyde

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アルデヒド
aldehyde

アルデヒド基 -CHO をもつ化合物総称。一般式 RCHO 。ケトンと同様にカルボニル基 >C=O をもっているので,性質,反応においてケトンと似た点が多いが,カルボニル基に水素原子がついているので,ケトンよりも酸化されやすい。芳香族アルデヒドは脂肪族アルデヒドより酸化されやすい。酸化されるとカルボン酸となり,還元されるとアルコールとなる。炭素原子数の少い脂肪族アルデヒドは濃アルカリの作用で重合し,褐色の樹脂様物質になる。植物油中に含まれているものもあり,シンナムアルデヒドバニリンなどは香料として利用される。またベンズアルデヒド配糖体として梅,桃などに含まれる。中性物質で反応性に富んでおり,合成樹脂や合成繊維原料として重要である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディアの解説

アルデヒド

アルデヒド基−CHOをもつ有機化合物の総称。ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,ベンズアルデヒド,アクロレイン,フルフラールなどがその例。還元性を有し銀鏡反応を示したり,フェーリング液を還元し,酸化するとカルボン酸になり,還元するとアルコールになる。
→関連項目アンタブス

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて 情報

栄養・生化学辞典の解説

アルデヒド

 ホルミル基(-CHO)をもつ化合物の総称で,還元性を示す.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

アルデヒド【aldehyde】

アルデヒド基(カルボニル基C=Oに水素原子が少なくとも1個結合した基)-CHOをもつ化合物の総称。一般式R-CHO。脱水素されたアルコールalcohol dehydrogenatedが語源とされる。IUPAC命名法では,相当するアルカンの語尾を〈nal(ナール)〉にかえてよぶ。たとえば,HCHOやCH3CHOはそれぞれメタナール,エタナールとよぶが,一般には相当するカルボン酸に由来する慣用名(この場合はホルムアルデヒド,アセトアルデヒド)でよばれる。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

アルデヒド【aldehyde】

分子内にアルデヒド基(-CHO)をもつ化合物の総称。一般式は R-CHO 最も簡単なものは R が水素原子となっているホルムアルデヒド HCHO であり、メチル基のついたアセトアルデヒド CH3CHO を単にアルデヒドということもある。酸化されてカルボン酸になる。還元性が強い。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アルデヒド
あるでひど
aldehyde

アルデヒド基-CHOをもつ化合物の総称。一般式RCHOで示される。ケトン類RCOR'と同じくカルボニル基=Oをもっているので、アルデヒドとケトンでは性質に多くの類似点がみられる。
 -CHO以外に他の官能基をもつもの、たとえばアミノ基をもつアミノアルデヒド、ケトン基をもつケトアルデヒドなどがある。[廣田 穰・末沢裕子]

命名法

国際的なIUPAC命名法では、骨格となる同じ炭素数の炭化水素名の語尾-e(無音)を-al(アール)に変えて命名する。たとえばCH3(CH2)5CHOはヘプタンheptaneが骨格炭化水素であるから、ヘプタナールheptanalとなる。また、慣用名もよく使われていて、この場合には炭素が同数のカルボン酸名の語尾-ic acid(酸)を-aldehyde(アルデヒド)に変えて命名する。HCHOの場合はギ酸HCOOH(formic acid)からホルムアルデヒドformal deyde、CH3CHOの場合は酢酸CH3COOH(acetic acid)からアセトアルデヒドacetal dehydeと命名される。[廣田 穰・末沢裕子]

存在

炭素数が6~15程度のアルデヒドのいくつかは植物油中に存在する。また、代表的な芳香族アルデヒドのベンズアルデヒドは配糖体の形でウメ、モモなどバラ科の植物の種子中に存在する。この種の配糖体は植物を細かく砕くと、分解してシアン化水素(青酸)を発生するので有毒である。たとえば、アンズの種子に含まれるアミグダリンは、加水分解すると、ベンズアルデヒドとシアン化水素とグルコース(ブドウ糖)になる。

 ウメ、モモ、アンズなどの種子を食べると有毒であるといわれるのはこのためである。芳香族アルデヒドのなかには、シンナムアルデヒド、バニリンのように植物精油中に存在し、香料となるものがある。[廣田 穰・末沢裕子]

合成法

アルデヒドを合成するには次の方法がとられる。
(1)第一アルコールの酸化 第一アルコールRCH2OHを酸化して炭素数が等しいアルデヒドを合成するには、酸化が進みすぎてカルボン酸RCOOHになってしまわないように注意して行う必要がある。

 そのためには銅を触媒とした空気酸化が適当で、クロム酸による酸化も注意して行えば、アルデヒドの段階で止めることができる。空気酸化の方法は工業的にメタノール(メチルアルコール)を酸化してホルムアルデヒドをつくるのにも応用されている。この反応では形式的には第一アルコールRCH2OHから水素分子H2が脱離してアルデヒドRCHOが生成しているので、「脱水素されたアルコール」を意味するラテン語alcohol dehydrogentusを短縮して、アルデヒド(ドイツ語でAldehyd、英語でaldehyde)の名前がつけられている。命名者はドイツの有機化学者リービヒである。
(2)酸塩化物の還元 この方法はローゼンムント還元Rosenmund reductionとよばれていて、活性を弱めたパラジウム触媒を用いて気体の水素で還元する。この触媒に含まれている硫酸バリウムBaSO4は、触媒の活性を弱めて、さらに水素化反応が進んでアルコールになるのを防ぐ役目を果たしている。

 このほかに芳香族アルデヒドの合成には、芳香環についているメチル基CH3-を酸化する方法がある。工業的には、塩化パラジウムを触媒として末端アルケンに水を付加させアルデヒドを合成する方法(ヘキスト‐ワッカー法)が利用されていて、この方法によりエチレンからアセトアルデヒドが合成されている。他の工業的なアルデヒド合成法としては、触媒を用いてアルケンの二重結合に対して水素と一酸化炭素を付加させるヒドロホルミル化(オキソ法)がある。[廣田 穰・末沢裕子]

性質

ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどの炭素数が少ない脂肪族飽和アルデヒドは、刺激臭をもつ気体または液体で、水に溶ける。炭素鎖の長さが6~9個のアルデヒドは芳香をもつので、香料として使われているが、さらに炭素鎖の長いものは、水に溶けない固体である。芳香族アルデヒドも芳香をもつものが多い。
 アルデヒドは酸化されてカルボン酸になりやすく、空気中の酸素によっても酸化される点がケトンと異なるが、カルボニル基が付加化合物を生成する点やカルボニル試薬と反応する点は、ケトンに類似している。アルデヒドの反応性としては大きく分けて、カルボニル基のC=O二重結合に共通な反応と、アルデヒド基が自らは酸化されて他の化合物を還元しやすい性質による反応の2種類がある。前者はケトンと共通な反応であるが、一般にアルデヒドのほうが反応性に富む。後者はアルデヒドに特有で、ケトンにはみられない反応であり、アルデヒドとケトンを区別するのに用いられる。
(1)アルデヒドの重合反応 アルデヒドのC=O二重結合が付加重合して環状多量体を生ずる反応や、鎖状の高分子を生ずる反応が知られている()。
(2)いろいろな付加反応 カルボニル基=Oは酸素が負電荷をもち、炭素が正電荷をもつように分極しているので、シアン化水素の付加ではシアンヒドリンが、グリニャール試薬の付加では第二アルコールRR'CHOHができる。
 アルデヒド(およびケトン)のカルボニル基はヒドラジン、フェニルヒドラジン、セミカルバジド、ヒドロキシルアミンなどと縮合反応をおこして、ヒドラゾン、フェニルヒドラゾン、セミカルバゾン、オキシムなどのC=N二重結合をもつ化合物を生ずる。これらの化合物は結晶として得られるので、アルデヒドやケトンが存在することを確かめる定性分析に利用されている。
(3)アルデヒドの酸化と還元 アルデヒドは還元すると第一アルコールになり、酸化するとカルボン酸になる。アルデヒドは比較的酸化を受けやすく、ベンズアルデヒドなどは空気中の酸素によっても徐々に酸化される。このように酸化を受けやすいので、他の物質を還元する性質をもっている。そのため、アルデヒドを検出するには、フェーリング液、銀鏡反応などで還元性を調べ、カルボニル試薬との反応と組み合わせてアルデヒドであることを確かめる。アルデヒドを、金属触媒を用いる水素添加反応、水素化物を用いる還元反応によって還元すると第一アルコールアルデヒドRCHOを、金属触媒を用いる水素添加反応、金属水素化物を用いる還元反応により還元すると第一アルコールRCH2OHになる。しかし、亜鉛と塩酸ににより還元すると炭化水素RCH3になり()、この反応をクレメンゼン還元Clemmensen reductionという。[廣田 穰・末沢裕子]
『日本化学会編『実験化学講座21 有機合成3 アルデヒド・ケトン・キノン』第4版(1991・丸善) ▽日本化学会編『実験化学講座15 有機化合物の合成3 アルデヒド・ケトン・キノン』第5版(2003・丸善) ▽Saul PataiThe chemistry of the carbonyl group(1966, Interscience Publishers, London and New York)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

アルデヒドの関連キーワードアクリルアルデヒド(データノート)ケイ皮アルデヒド(桂皮アルデヒド)クライゼン=シュミット反応エーエルディーエッチツーウォルフ‐キシュナー還元ヒドロキシアルデヒドポリビニルアセタールカニッツァーロ反応コーリー=キム酸化フェニルヒドラゾンローゼンムント還元クレメンゼン還元セミカルバゾン糖アルコールピリドキサルシッフの試薬パーキン反応アルデヒド基プロペナールシッフ試薬

今日のキーワード

あおり運転

危険運転の一種で、前方を走行する車両に対する嫌がらせ行為。車間距離を極端に詰めて道を譲るように強要する、猛スピードで追い回す、ハイビームやパッシング、並走しての幅寄せなどで威嚇する、といった行為が該当...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android