ガソリン(英語表記)gasoline

翻訳|gasoline

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ガソリン
gasoline

揮発油。イギリスでは petrolという。原油から蒸留して得られる沸点が約 35~200℃の炭化水素混合物で,主として内燃機関の燃料として用いられる。用途によって,航空ガソリン自動車ガソリン,工業用ガソリン (石油溶剤) などに分けられるが,普通は製造方法により次のように分類されている。 (1) 天然ガソリン 湿性天然ガスから分離される。 (2) 直留ガソリン 原油の蒸留によって得られる。 (3) 分解ガソリン 沸点の高い石油留分の分解蒸留により得られる。 (4) 改質ガソリン 直留ガソリンを触媒を利用して改質したもの。 (5) 重合ガソリン ブチレンなどの低級オレフィンの重合により得られる。また燃料用ガソリンの性能を決める性質としてオクタン価があり,そのためにアンチノック剤の添加も行われる。石油エーテルやベンジンなどの石油系溶剤は一般に直留ガソリン,改質ガソリン,軽油などの留分から化学的精製法により製造される低沸点の芳香のある製品で,塗料用溶剤,ドライクリーニング用溶剤など用途に応じて特性 (溶解性,引火性,揮発性など) を考慮した製造がなされている。また取扱いについては特に安全衛生の面から法規制がなされている。

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百科事典マイペディアの解説

ガソリン

揮発油とも。沸点範囲が30〜220℃の揮発性石油留分および製品の総称。狭義には火花点火機関用の燃料とされる自動車ガソリン,航空ガソリンをさす。ほかに,工業ガソリンがある。製造法から分類すると,石油系天然ガスに含まれる天然ガソリン,原油の常圧蒸留で得られる直留ガソリン,重質油留分の熱分解による分解ガソリン,改質法による改質ガソリンなどがあり,ほかに低級炭化水素を重合した重合ガソリンやフィッシャー合成による合成ガソリンなどもある。
→関連項目石油ナフサ

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世界大百科事典 第2版の解説

ガソリン【gasoline】

揮発油ともいう。沸点範囲が30~220℃の石油留分(中間製品)および製品の総称。ガソリンの主要な用途は,ガソリンエンジン用燃料としての自動車ガソリンおよび航空ガソリン,ならびに溶剤としての工業ガソリンであるが,その大部分は自動車ガソリンであり,航空ガソリンはジェット機の発達した今日ではほんの一部を占めるにすぎない。品質,性状はそれぞれの用途によって異なるが,一般的には常温・常圧下で揮発しやすく,引火性が大きく,またその蒸気が空気と適当な濃度範囲(約1~7容量%)で混合すると爆発的に燃焼する可能性があるので,取扱いには注意を要する。

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大辞林 第三版の解説

ガソリン【gasoline】

比較的低沸点(摂氏30~200度)の炭化水素の混合物。ガソリンエンジンの燃料などに使われる。揮発油。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ガソリン
がそりん
gasoline

比較的低沸点の炭化水素組成をもつ石油製品。沸点範囲は約25~200℃で、おもにガソリンエンジン(火花点火機関)の燃料となる。一部は溶剤として用いられる。原油の蒸留や熱的・化学的処理を経て製造され、原油の性状、製造法、用途別によって異なるが、一般にパラフィン系、ナフテン系、芳香族系、オレフィン系など各種炭化水素の混合物である。用途により、自動車ガソリン、航空ガソリン、工業ガソリンに大別される。また製造法によりきわめて多種類のガソリンがあり、用途によりこれらを適宜配合して製品とする。自動車および航空ガソリンとしてもっとも重要な性質は、アンチノック性がよいこと、すなわちオクタン価が高いことで、ガソリン製造法も、主としてこの点に基本が置かれている。[原 伸宜]

製造法別による主要なガソリン

(1)直留ガソリン 原油の蒸留のみで得られるガソリンで、第二次世界大戦前はこれがガソリンの主体であった。しかし現代の高性能エンジンではオクタン価が低すぎて、このままでは使用できず、この未精製のガソリン留分をナフサとよび、ナフサの改質、異性化などの化学的処理により高オクタン価ガソリンとしている。しかしナフサのうち沸点約100℃以下の留分(軽質ナフサ)はオクタン価が60~75程度(リサーチ法)であり、これ単独では自動車ガソリンとして使用できないが、精製して直留軽質ガソリンとし、並級(レギュラー)ガソリンへの配合材として用いられる。
(2)異性化ガソリン 軽質ナフサを触媒により、主成分のn‐パラフィンをイソパラフィンに異性化させた軽質の高オクタン価ガソリン。直留軽質ガソリンよりもオクタン価は著しく上昇し、約85以上となり、高オクタン価ガソリン材料となる。
(3)改質ガソリン ナフサのうちとくにオクタン価の低い重質ナフサ(沸点約80~200℃)を原料とし、触媒を用いてその化学構造を変えた高オクタン価ガソリンで、自動車ガソリンの主材料として用いられる。オクタン価約95以上。改質の主反応はナフテン系炭化水素の脱水素芳香族化で、オクタン価がきわめて高い芳香族炭化水素を主成分とする。なおこの改質操作は、石油化学原料のベンゼン、トルエン、キシレンなどの製造法にも利用される。
(4)接触分解ガソリン 重質軽油を主原料とし、触媒を用いて熱分解(クラッキング)して得られる高オクタン価ガソリンで、改質ガソリンとともに自動車ガソリン材料となる。イソパラフィン、イソオレフィンを多く含み、オクタン価約92以上。
(5)熱分解ガソリン 石油重質留分を無触媒で熱分解して得られるガソリンで、オクタン価は接触分解ガソリンよりもはるかに低く、現在では生産量はきわめて少ない。高オクタン価ガソリンに配合して使用される。
(6)水素化分解ガソリン 石油重質留分を水素加圧下に触媒を用いて熱分解して得られる高オクタン価ガソリン。接触分解に水素化を加味したもので、劣質重油を原料に使用できる特徴があり、オクタン価約85以上。接触分解ガソリンと異なり、オレフィン分を含まず安定で、自動車ガソリン材料となる。
(7)アルキレート イソブタンをプロピレン、ブチレンなどによりアルキル化して得られる合成高オクタン価ガソリン。各種イソパラフィン炭化水素の混合物でオクタン価約95以上。航空ガソリンの主材料に用いられる。
(8)重合ガソリン プロピレン、ブチレンなどを触媒を用い重合して得られるガソリン。主成分は各種イソオレフィン炭化水素の混合物で、オクタン価約85以上。自動車ガソリン配合材となるが、日本では生産されていない。
(9)天然ガソリン 湿性天然ガスに含まれる液状成分(ペンタンなど)を分離採取したもので、おもに溶剤として工業ガソリン材料となる。[原 伸宜]

自動車ガソリン

改質ガソリンを主とし、これに接触分解ガソリン、直留軽質ガソリンなどを適宜配合して、オクタン価レベルの異なる並級および特級(プレミアム)ガソリンの材料とし、必要に応じてさらに安定剤(酸化防止剤)、アンチノック剤(テトラエチル鉛、テトラメチル鉛など)を添加して製品とする。日本の規格ではこれらのガソリンのオクタン価(リサーチ法)は並級85以上、特級95以上に定められている。自動車ガソリンに要求される性質としては、オクタン価(アンチノック性)が高いことのほか、中性で腐食性がないこと、安定でガム質を生成しないこと、気化性がよいこと、蒸気圧が適当でエンジンのベーパーロック(蒸気閉塞(へいそく))をおこさないことなどである。なおアンチノック剤の添加(加鉛)による排気中の鉛化合物の有害性により、世界的にガソリンの低鉛化ないし無鉛化が進んでおり、日本の規格(JIS K2202)では、自動車ガソリンのアンチノック剤添加量は0.03容量%以下に制限されており、並級ガソリンと一部の特級ガソリンには添加されていない。加鉛ガソリンには染料でオレンジ色に着色して加鉛の表示としている。[原 伸宜]

航空ガソリン

プロペラ機用のガソリンで、アルキレートを主とし、これに改質ガソリン、接触分解ガソリンなどを配合し、アンチノック剤を添加して製品とする。沸点範囲は約25~150℃で、自動車ガソリンよりも低い。航空ガソリンのオクタン価は100以上のものが主体で、そのオクタン価はほぼ最高出力に比例する。出力価(航空法/過給法)で示され、主要な製品は出力価100/130(2号)および115/145(3号)の2種である。加鉛量(JIS K2206)は自動車用より多く、0.122容量%以下で、前記2種のガソリンには加鉛とそのランク表示にそれぞれ染料で緑と紫色に着色されている。[原 伸宜]

工業ガソリン

おもに溶剤として用いられるガソリンで、揮発油ともいう。天然ガソリン、直留ガソリンなどの適当な留分を精製して、用途により多種類の製品が製造されている。各種炭化水素の混合物で、とくに低沸点のものはパラフィン系成分が多い。主要なものはダイズなどの油脂抽出用(沸点60~90℃)、ゴム溶剤用(80~160℃)、塗料用(30~205℃)、クリーニング用(150~210℃)、一般用溶剤の石油ベンジン(30~150℃)などのほか、実験室用低沸点溶剤のリグロイン、石油エーテルなどがある。[原 伸宜]

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精選版 日本国語大辞典の解説

ガソリン

〘名〙 (gasoline) 内燃機関の燃料などに用いられる沸点範囲摂氏三〇~二〇〇度の石油炭化水素の混合物。用途から工業ガソリン、自動車ガソリン、航空ガソリンに大別される。〔舶来語便覧(1912)〕

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