ガソリン(英語表記)gasoline

翻訳|gasoline

デジタル大辞泉 「ガソリン」の意味・読み・例文・類語

ガソリン(gasoline)

沸点がセ氏30~200度くらいの揮発性の液体で、炭化水素混合物石油の分留または軽油接触分解によって得られるが、天然のものもある。内燃機関の燃料。さらに分留した工業用ガソリンは溶剤などにも使用。揮発油
[類語]脂肪脂肪油油脂魚油香油オイル石油原油重油軽油灯油揮発油精油グリース

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精選版 日本国語大辞典 「ガソリン」の意味・読み・例文・類語

ガソリン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] gasoline ) 内燃機関の燃料などに用いられる沸点範囲摂氏三〇~二〇〇度の石油炭化水素の混合物。用途から工業ガソリン自動車ガソリン航空ガソリンに大別される。〔舶来語便覧(1912)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「ガソリン」の意味・わかりやすい解説

ガソリン
gasoline

揮発油ともいう。沸点範囲が30~220℃の石油留分(中間製品)および製品の総称。ガソリンの主要な用途は,ガソリンエンジン用燃料としての自動車ガソリンおよび航空ガソリン,ならびに溶剤としての工業ガソリンであるが,その大部分は自動車ガソリンであり,航空ガソリンはジェット機の発達した今日ではほんの一部を占めるにすぎない。品質,性状はそれぞれの用途によって異なるが,一般的には常温・常圧下で揮発しやすく,引火性が大きく,またその蒸気が空気と適当な濃度範囲(約1~7容量%)で混合すると爆発的に燃焼する可能性があるので,取扱いには注意を要する。消防法上は第四類危険物に分類され,100l以上の取扱いや貯蔵については市町村長等の許可が必要である。組成は炭素数4~12程度の液状炭化水素の混合物であり,パラフィンオレフィン,および芳香族炭化水素から成る。これらの割合はガソリンの製造方法および用途によって大きく異なる。

アンチノック性,揮発性,安定性などの性状が重要であり,JIS(日本工業規格)によって品質が規定されている(表1)。アンチノック性については,リサーチ法オクタン価が1号(プレミアム級)では95以上,2号(レギュラー級)では85以上とされている。揮発性については,冬季にエンジンの始動性,暖機性がよく,夏季にベーパーロック(エンジンの燃料供給系統がガソリン蒸気によって閉ざされ,ガソリンの流量が不足する現象)が起こることのないよう,分留性状と蒸気圧が定められている。また安定性については,ガソリンの貯蔵中に酸化生成物やガムが生成せず,また腐食性のないことが要求される。

本質的には自動車ガソリンと同様の性状をもつが,使用環境条件(高空の気圧,気温)や運転条件(離着陸時,安全性)が異なるので,沸点範囲が狭く,オクタン価が高い(JISによれば80,100,115以上)など,一段と高度の品質が要求される。

燃料以外の用途に用いられるガソリンで,油脂抽出用,ドライクリーニング用,ゴム工業用,塗料用,あるいは洗浄用などの溶剤として用いられる。工業ガソリンのJISの概要を表2に示す。用途に応じて沸点範囲が異なるが,沸点範囲が狭く,化学的,熱的に安定で,腐食性がなく,無色透明で,異臭がないことなどが要求される。

原油を常圧蒸留装置にかけると軽質ナフサ重質ナフサとが得られる。軽質ナフサ水素化精製し,必要によって異性化装置にかけてオクタン価を高める。また重質ナフサは水素化精製ののち接触改質装置にかけてオクタン価を高める。このようにして得られた高オクタン価材源を混合し,四エチル鉛などのアンチノック剤を加え(ただしレギュラーガソリンを除く),自動車ガソリンあるいは航空ガソリンを生産する。ガソリンの需要が多いときは,常圧蒸留装置から得られる残油を減圧蒸留し,得られた減圧軽油を接触分解装置にかけ,ガソリンを増産する。また接触分解装置から得られるプロピレンブチレンイソブタンなどを原料として重合,あるいはアルキル化反応を行い,重合ガソリン(ポリマーガソリンpolymer gasoline)あるいはアルキレート(イソオクタン)を生産することも行われる。これらもまたガソリン用の混合材源となる。工業ガソリンは,軽質または重質ナフサを水素化精製したのち,精密蒸留装置にかけ,目的の沸点範囲の留分を採取して生産する。
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化学辞典 第2版 「ガソリン」の解説

ガソリン
ガソリン
gasoline

揮発油ともいう.沸点範囲約30~200 ℃ の精製石油製品で,自動車用または航空機(プロペラ機)用のガソリンエンジン燃料として用いられるが,量的には大部分が自動車用である.ガソリンとしてはアンチノック性が高いことが必要で,高オクタン価成分の分枝状脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素の含有量の多いものが用いられる.1950年ごろまでは,ガソリンはおもに原油の蒸留(直留)や重質油の熱分解によって製造されたが,これらの方法で得られるガソリンはオクタン価が低いため,現在ではナフサのうち,軽質のもの(沸点範囲約30~100 ℃)が,ガソリン配合材に用いられているにすぎない.現在の市販ガソリンは,重質ナフサの接触改質,減圧軽油の接触分解アルキル化などの生成物を調合して製造される.自動車ガソリンではレギュラー(規格オクタン価89以上)とプレミアム(ハイオク)(同96以上)の2種類の製品として市販される.また,航空ガソリンでは,とくにオクタン価の高いアルキレートが主成分として配合され,沸点範囲も自動車用より狭い(約150 ℃ 以下).これらの燃料用ガソリンのほかに,ベンジン石油エーテルなど,おもに溶剤用として用いられる工業ガソリンがある.

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百科事典マイペディア 「ガソリン」の意味・わかりやすい解説

ガソリン

揮発油とも。沸点範囲が30〜220℃の揮発性石油留分および製品の総称。狭義には火花点火機関用の燃料とされる自動車ガソリン,航空ガソリンをさす。ほかに,工業ガソリンがある。製造法から分類すると,石油系天然ガスに含まれる天然ガソリン,原油の常圧蒸留で得られる直留ガソリン,重質油留分の熱分解による分解ガソリン,改質法による改質ガソリンなどがあり,ほかに低級炭化水素を重合した重合ガソリンやフィッシャー合成による合成ガソリンなどもある。
→関連項目石油ナフサ

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