コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

アンチノック剤 アンチノックざいanti knock agent

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アンチノック剤
アンチノックざい
anti knock agent

ガソリンエンジンでガソリンが燃焼する際,激しい連鎖反応のためノッキングが起り,燃焼効率を低下させるので,ノッキング停止を目的としてガソリンに加える成分をいう。ガソリンのアンチノック性は多くの場合,燃料試験エンジンで測定し,オクタン価で表示され,アンチノック性の大きいガソリンほどオクタン価が高い。アンチノック剤として代表的なものはテトラエチル鉛 (四エチル鉛) である。鉛公害が叫ばれてから代替品として鉛を含まないものが検討されたが,アンチノック性や NOx 発生などの点で,テトラエチル鉛に匹敵するものは見出されていない。アンチノック性向上にはそのほか低級アルコール,メチル-t-ブチルエーテル,アニリンなどがある。実際上の問題から,テトラエチル鉛を単独で用いず,臭化エチレン塩化エチレンおよび他の安定剤などを混合して使用する。日本では現在有鉛ガソリンは原則として使用されない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

アンチノック‐ざい【アンチノック剤】

antiknock》エンジンなどのノッキングを防ぐため、ガソリンに少量添加される薬剤。テトラエチル鉛などのアルキル鉛化合物を使用するが、鉛公害を起こすことから、現在日本では使われない。耐爆剤

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディアの解説

アンチノック剤【アンチノックざい】

ガソリンエンジンのノッキングを防止するために,ガソリンに加える添加剤。臭化エチレンなどの助剤とともに,ガソリンに微量添加することにより,オクタン価を上昇させることができる。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

アンチノックざい【アンチノック剤 antiknocking agent】

ガソリンエンジンのノッキングを防止するために,ガソリンに添加される化合物をいう。鉛,鉄,マンガンなどの有機金属化合物がノッキング防止作用をもつことが知られているが,最も著名なのは四エチル鉛(C2H5)4Pb,四メチル鉛(CH3)4Pb,エチルメチル鉛などのアルキル鉛化合物である。これらを臭化エチレン,塩化エチレンなどの助剤とともにガソリンに微量添加すると,ガソリンのオクタン価が5~15上昇する。上記のアルキル鉛化合物は猛毒性であり,呼吸や皮膚接触により人体に摂取されると神経を侵す。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

アンチノックざい【アンチノック剤】

ノッキングによる効率低下を防ぎ、オクタン価を高めるためにガソリンに添加するもの。四エチル鉛などテトラアルキル鉛が代表的であるが鉛公害の原因となるため、現在はベンゼン・トルエンなどの芳香族炭化水素を使う。耐爆剤。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アンチノック剤
あんちのっくざい
anti-knock agent

ガソリンエンジン(火花点火機関)で発生するノッキング現象を防止し、ガソリンのオクタン価を向上させる目的でガソリンに添加される薬剤。ガソリンエンジンの熱効率をあげ、性能を高めるためには、圧縮比を高くする方法がとられるが、高圧縮比ではノッキングとよぶ異常燃焼をおこしやすく、この結果かえって出力が低下するばかりでなく、エンジンは激しい振動や過熱をおこし、損傷の原因となる。このためガソリンはアンチノック性、すなわちノッキングをおこしにくい性質が必要で、この尺度を数量的に表す数値がオクタン価である。アンチノック剤は微量(最高約0.8容量%)の添加で、ガソリンのオクタン価を著しく上昇させる効果がある。従来アンチノック剤としてもっぱら使用されてきたのは、1921年ミジェリーT. Midgeley(1889―1944)によって発見されたテトラエチル鉛Pb(C2H5)4(沸点200℃)であるが、近年、比較的低沸点留分のオクタン価が低い改質ガソリンが主体となるにしたがい、テトラメチル鉛Pb(CH3)4(沸点110℃)が多く用いられ、またメチル基とエチル基が一部置換した混合アルキル鉛も用いられるようになった。これらのアルキル鉛は、炭化水素の燃焼に際して生成する中間酸化物を不活性化し、異常燃焼の連鎖反応を断ち切る作用をする。これらの鉛化合物は猛毒性物質であり、加鉛ガソリンは、染料によってオレンジ(自動車用)、緑、紫(航空機用)などに着色され、毒性を表示している。しかし近年、自動車排気中の鉛化合物の有害性、とくに排気浄化触媒を被毒することから、世界的にガソリンの低鉛化ないし無鉛化が進んでおり、日本では並級ガソリンはすでに無鉛化されている。[原 伸宜]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

アンチノック剤の関連キーワードトーマス(Jr.) ミジリハイオクタンガソリンニッケルカルボニルテトラアルキル鉛ガソリンエンジン四エチル鉛中毒芳香族炭化水素エチルメチル鉛エチルガソリン無鉛ガソリン加鉛ガソリンMTBEクラウス出力価鉛中毒鉛汚染臭素

今日のキーワード

ムガベ大統領

1924年、英植民地の南ローデシア(現ジンバブエ)生まれ。解放闘争に参加し、80年にジンバブエを独立に導いた。同年から首相、87年から大統領として実権を握り続けた。2000年以降は白人農場主の農園を強...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android