掛く(読み)カク

デジタル大辞泉 「掛く」の意味・読み・例文・類語

か・く【掛く/懸く/構く】

[動カ五(四)]
(「胡坐あぐらをかく」の形で)足を横に三角の形に組んで座る。
組み合わせる。編み合わせて作る。
こしきには蜘蛛くもの巣―・きて」〈・八九二〉
つなぎ留める。掛ける。
「馬にこそふもだし―・くもの牛にこそ鼻縄くれ」〈・三八八六〉
[可能]かける
[動カ下二]か(掛)ける」の文語形

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「掛く」の意味・読み・例文・類語

か・く【掛・懸】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 カ行五(四) 〙
    1. ある所に物の一部をつけてつなぎとめる。掛ける。
      1. [初出の実例]「伊勢の野の 栄枝(さかえ)を 五百(いほ)(ふ)る柯枳(カキ)て」(出典日本書紀(720)雄略一二年・歌謡)
    2. ( 構 ) 組み立てたり、編んだりして作る。
      1. [初出の実例]「大君の 八重の組垣 哿哿(カカ)めども 汝(な)をあましじみ 哿哿(カカ)ぬ組垣」(出典:日本書紀(720)武烈即位前・歌謡)
      2. 「大船共を並べて矢倉をかきて」(出典:太平記(14C後)一〇)
    3. (下帯を)結ぶ。締める。
      1. [初出の実例]「頭の髪は赤くして上様に昇れり、裸にして赤き浴衣(たふさぎ)を掻(かき)たり」(出典:今昔物語集(1120頃か)一四)
    4. ( 「あぐらをかく」の形で ) 足を組んですわる。
      1. [初出の実例]「『心得た』と云て、あぐらかひているなり」(出典:虎明本狂言・察化(室町末‐近世初))
      2. 「胡坐(あぐら)を組(カ)いたままで一寸お点頭(じぎ)して」(出典:はやり唄(1902)〈小杉天外〉八)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙かける(掛)

掛くの語誌

「かかる」の他動詞形である「かく」には四段活用と下二段活用がある。下二段活用の「かく」が古くから多義語としてさまざまな用法をもち、現在も下一段活用の「かける」として使われているのに対し、四段活用の「かく」は用法がかなり限定されており、しかも今日では「あぐらをかく」などの表現として慣用的に残っているだけである。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android