意味的に関連の認められる異なった二つ以上の意味をもつ語。一般の辞書には、二つ以上の意味を列挙した項目が多いが、これがそのまま多義を示しているとは限らない。ある一つの意味が前後関係から表面的に異なった意味として表れ、それがそのまま異なった意味と見誤られることがあるからである。
最初は単一の意味あるいは多義であったものが、歴史的に意味変化が次々におこった結果、ついに意味的つながりが認められなくなることがある。このときは多義語が同音異義語に分化したことになる。「かたぎ」が現在の「形木」と「気質(かたぎ)」に分かれ、「さかな」が「魚」と「肴(さかな)」に分かれたのがその例である。一方、「暑い」と「熱い」は同音異義語であるか多義語であるか、微妙な問題である。言語学においては、多義語と同音異義語の区別の仕方について、いままで多くの考察がなされてきたが、結論は出ていない。一方、両者は連続していて、区別をつけること自体が不自然であるとする考え方もある。一般の辞書では、語源的に同じものは意味の違いに関係なく多義扱いにしたり、日本語の和語の場合、異なった漢字をあてるものを同音異義扱いにすることがあるが(たとえば「冷める・覚める・醒(さ)める」)、理論的にいえば便宜的なものである。
多義的意味の間の意味関係には、いろいろなものがある。基本義と比喩(ひゆ)的転義、特殊な領域で用いられる特殊義(たとえば「石」が宝石関係で「宝石」をさし、医療関係で「結石」をさす場合)などがある。一般に基本的で使用頻度の高い語ほど多義を生じやすい。
[国広哲弥]
『国広哲弥著『意味論の方法』(1982・大修館書店)』
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